2004 Fiscal Year Annual Research Report
肝内胆管細胞のheterogeneity(多様性)についてのプロテオーム解析
Project/Area Number |
16590573
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上野 義之 東北大学, 病院, 講師 (70282126)
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Keywords | 肝内胆管細胞 / プロテオーム解析 / Ebhrin / 不死化細胞 |
Research Abstract |
難治性の免疫学的機序による胆管破壊の特徴として肝内胆管のうち小葉間胆管のサイズの細胞が選択的に破壊される点があるが、その選択性についての詳細は不明である。肝内胆管細胞には多様性が存在することが知られており、われわれはこの点についての理解を深めることがヒト胆汁うっ滞性肝疾患の治療に不可欠であると考えて今回の研究を開始した。 ヒトの小葉間胆管に特異的に発現される分子・蛋白の解明を進めるために、従来行ってきたcDNAμアレイ法に加えて、2Dゲルを用いた蛋白質の網羅的検討を行うことを目指し、平成16年度はそのための基礎検討を行った。生体肝移植の摘出肝より、胆管細胞を不死化させて蛋白発現プロファイルの比較を行うことより、病的胆管に特異的に発現される蛋白の検討を行った。その基礎実験であるマウス胆管細胞を用いた基礎実験より、細胞の増殖や、遊走に関与する蛋白Ephrin関連蛋白が認められその発現の生理学的意義に対する検討を行い、その結果EphA5が小型の胆管細胞に選択的に発現されていることが認められ、これは再生が旺盛な細胆管レベルでの胆管細胞の特徴を裏付けるものと考えられた。小葉間胆管は再生に乏しい細胞と考えられているが、人為的にEphの発現を調整することにより、胆管再生のために新規の治療法の標的分子としての可能性が提唱された。また、ヒトの病的胆管では水チャンネルであるアクアポリンの表出が低下することを臨床検体を使って明らかにした。今後は、siRNAを使用して、その検討を行うとともに、今回確立した手法を用いて、さらに新規のユニークな蛋白の同定とその解析を行うことが望ましいと考えられた。また、今回の検討により、障害を受けたヒトの臨床検体をそのまま培養に持ち込むことは技術的に困難であることも見出し、樹立した正常胆管細胞株を用いての検討も並行していく必要があることも判明した。
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Research Products
(5 results)