2004 Fiscal Year Annual Research Report
肝炎ウイルス持続感染時の病態・治療に及ぼすウイルス側および生体側因子の解明
Project/Area Number |
16590576
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
横須賀 收 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (90182691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今関 文夫 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (40223325)
深井 健一 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (60361432)
神田 達郎 千葉大学, 総合安全衛生管理機構, 助手 (20345002)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / B型肝炎ウイルス / HCV RNA / HBV DNA / 塩基配列決定 / ラミブジン / リバビリン / インターフェロン |
Research Abstract |
ウイルス性慢性肝炎は本邦の肝不全、肝癌の最大の原因である。ウイルス性慢性肝炎の進行、その治療反応性にはウイルス側因子および生体側因子が重要な役割を担っていると考えられる。C型慢性肝炎に対しインターフェロン(IFN)療法が肝発癌の抑制のみならず生命予後の改善にも有用であることが明らかにされた。しかしながら、約半数の症例は、IFN・リバビリン併用療法によってもウイルス駆除が出来ず、依然として難治である。そこでIFN・リバビリン治療の有効例、無効例におけるC型肝炎ウイルス(HCV)の全塩基配列を検討し、治療抵抗性ウイルスの特徴を検討した。IFNとリバビリン併用治療症例のうち治療効果別に、持続陰性化群、再燃群、無効群の各群について、投与1年前、投与直前、投与終了時あるいは再燃時の血清からRNAを抽出し、逆転写酵素によりcDNA合成後、約9500塩基からなるHCV RNAをPCR法により増幅し、塩基配列を決定した。治療無効群では治療中および治療前の変異の出現頻度が、再燃群、持続陰性化群に比べて少なく、特にHCVのNS5A領域に差異が多く認められることを示した。治療抵抗例では治療抵抗性のあるウイルスが存在しているか、生体側のウイルス排除能が減弱していることが示唆された。またB型慢性肝炎においても、無症候性キャリア、HBe抗原陽性慢性肝炎、HBe抗体陽性慢性肝炎例の全塩基配列を決定し、慢性肝炎例では、無症候性キャリアに比べて、core, surface蛋白領域に変異の出現が増加することを明らかにした。またラミブジン治療時のB型慢性肝炎ウイルスの全塩基配列を経時的に検討したところ、ラミブジン著効例ではpolymerase領域に変異の増加がみられ、治療効果の差異がウイルスpolymerase活性の差による可能性が示唆された。今後、生体側因子についても検討する予定である。
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Research Products
(5 results)