2005 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞の分化を促進する転写因子を導入してES細胞を肝不全の再生医学に応用する研究
Project/Area Number |
16590577
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
富澤 稔 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (90334193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川原 章 千葉県がんセンター(研究所), 研究局, 研究局長 (50117181)
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Keywords | 胚性幹細胞 / 肝不全 / 肝細胞 / 尿素サイクル / 糖新生 / インドシアニングリーン / C / EBPα / C / EBPβ |
Research Abstract |
【目的】胚性幹細胞(ES細胞)を肝細胞に分化させて、再生医学への応用を目的とし、我々は、ES細胞から分化した肝細胞を分離する培地の開発を試みた。肝細胞の分化を促進する転写因子CCAAT/ehancer binding protein(C/EBP)α、C/EBPβを導入目的のアデノウィルスベクターを作成した。【方法】肝細胞は、生存に必要なアルギニン、ブドウ糖を合成する尿素サイクル、糖新生を有する。そこで代謝産物のアルギニン、ブドウ糖を除き、その基質であるオルニチン、ガラクトース・グリセロールを添加した培地(hepatocyte selection medium, HSM)で培養し、肝細胞の分離を試みた。肝細胞の確認は、1.RNAよりRT-PCR法にてアルブミン、glucose-6-phosphodiesterase(G6PD)等の肝細胞に特異的な遺伝子の発現を検出、2.肝細胞に特異的に取り込まれるインドシアニングリーン(ICG)を添加、によった。in vitro ligation法で、C/EBPα、C/EBPβを発現するアデノウィルスベクターを作成、ウェスタンブロット法にて両遺伝子の発現を確認した。【成績】HSMで培養すると、細胞数が対照の培地に比して、生存する細胞が3%に低下した。HSMにて培養した細胞よりRNAを抽出したところ、アルブミン、G6PD等の遺伝子の発現を確認した。対照の培地に比してHSMで培養した細胞は、ICG陽性の細胞は有意に多かった。作成されたアデノウィルスベクターは、C/EBPα、C/EBPβを発現することが確認された。【結論】HSMは、ES細胞から肝細胞への分化を促進し、分離することが可能なことが示された。今後は、アデノウィルスベクターにてC/EBPα、C/EBPβを導入し、さらに肝細胞への分化を試みる予定である。
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