2004 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカインが胃に誘導するEGFリガンドの放出と前駆体C末領域が核内移行する意義
Project/Area Number |
16590614
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
城 卓志 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30231369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東山 繁樹 愛媛大学, 医学部, 教授 (60202272)
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Keywords | HB-EGF / ADAM / PLZA / c-myc / C末端 / 核内移行 |
Research Abstract |
これまでに、我々はIL-8が、膜結合性メタロプロテアーゼ(ADAM10)を活性化し、EGFRリガンドであるHB-EGFの細胞膜からの遊離を惹起することをあきらかにしたが、同じサイトカインであるIL-1βが、どのプロテアーゼを活性化し、EGFRリガンドを遊離するのかは不明であった。α、β、γsecretase(数十種)は、その候補であった。それらのsecretase阻害剤を使用し、HB-EGFの細胞膜からの遊離阻害を確認しようとした。γsecretase阻害剤(βアミロイド変換酵素阻害剤等多数)を使用し、遊離阻害の有無を調べたが、EGFRリガンドを遊離阻害するものを見つけることが出来なかった。さらに、α、βsecretase阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、セリンスレオニンプロテアーゼ阻害剤、メタロプロテアーゼ阻害剤等各種プロテアーゼ阻害剤について更なる検討を引き続き行っていき、IL-1βによりEGFRリガンドを遊離するプロテアーゼを同定していく予定である。 次に、proHB-EGFのC末端は,転写抑制因子であるPLZFと結合することを見いだし,核移行と同時に,PLZFの核外へのくみ出しが開始することを観察した.また、共同研究者愛媛大学第二医化学教室東山先生より、癌遺伝子及びアポトーシス制御遺伝子であるc-mycの核内での発現亢進が認められ、PLZFと同様proHB-EGFのC末端との結合、核移行への関与を示唆する所見を得たとの助言に従って、c-mycの核内移行が胃癌上皮細胞においても認められるかどうかについて胃癌切除標本を用いて,免疫組織学的に検討した. 当院における胃癌切除標本6症例において,HB-EGF-C抗体を用いて,免疫組織染色の条件設定について検討した.前処理について,「なし」,「マイクロウェーブ10分」,「オートクレープ121℃10分」に分けた.また,抗体の希釈について,「20倍希釈」と「200倍希釈」に分けた.合計36例について検討した. 今回の検討では,前処理なし,抗体20倍希釈において,胃癌の一部に核染色を認めた.しかし,一部非特異的染色を認め,更に条件設定について検討を行っている.今後,症例数を増やすことにより,どのような病変にどの種類のリガンドの前駆体C末端領域が分布するのかが明らかになると考えられる. 当院における胃癌切除標本19症例について,c-myc抗体,PLZF抗体を用いて,免疫組織染色について検討した.c-mycの核染色を認めたものは2症例であった.PLZFついては粘膜の基底層の細胞質の染色を認めた.現在のところでは症例数が少なく,検討はできていないが,今後症例数を増やすことにより,HB-EGF-C,c-myc,PLZFの関連が免疫組織学的にも証明されると考えられる.
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