2006 Fiscal Year Annual Research Report
肝性脳症の高次大脳機能異常の発症機序の関する包括的解析
Project/Area Number |
16590621
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
加藤 章信 岩手医科大学, 医学部, 助教授 (50177424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 雄輝 岩手医科大学, 医学部, 助手 (00405771)
井上 敬 岩手医科大学, 医学部, 講師 (70326651)
鈴木 一幸 岩手医科大学, 医学部, 教授 (00137499)
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Keywords | 肝硬変 / 潜在性肝性脳症 / 脳内物質代謝異常 / 脳内受容体異常 / ドーパミン / positron断層撮影法 |
Research Abstract |
【目的】肝硬変にみられる潜在性肝性脳症の特徴を脳高次脳機能の測定より明らかにし、潜在性肝性脳症の概念の整理や潜在性肝性脳症にみられる精神神経機能異常に対する治療も検討する。潜在性肝性脳症の機序には、脳内物質代謝異常、脳内受容体異常などが想定されin situで検証する。 【方法】肝硬変における脳内受容体異常の検討:実験的に肝硬変では脳内のドーパミン濃度は低下し、肝性脳症の成因と考えられるが、in situの状態での脳内ドーパミンの異常の有無については明らかではない。そこで、脳内ドーパミン濃度をポジトロン断層撮影法により測定し、血液生化学検査との関連を検討した。対象は昨年度より増加しドーパミン系薬剤の服用既往のない肝硬変18例。対象は健常者3例。ドーパミンD2受容体の拮抗薬であるメチルスピペロンに11Cを標識してトレーサーとして用いた。なお、脳の各部位の同定には、3DSRT(3 dimensional stereotactic resion of interest template)を用いて検討した。 【結果】脳内受容体異常の検討:肝硬変でのドーパミン受容体は小脳で発現されていないことから、小脳のドーパミン結合能を対象の脳各部位での結合能で除した値を脳内ドーパミン濃度として検討した。その結果、脳内各部位でのドーパミン濃度は肝硬変で健常者に比較して、有意に低下していた。またその値は総ビリルビン値と正の相関、プロトロンビン時間とは明らかな相関はなく、脳内ドーパミン濃度は、肝臓の重症度とは相関ないことから脳症の発症因子として独立した項目であると考えられた。また、脳症の既往やアルコール歴とは関連し、これらの因子がドーパミン代謝へ影響をおよぼすことも明らかであった。
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Research Products
(2 results)