2006 Fiscal Year Annual Research Report
単クローン抗体で認識される消化管粘液中の酸性糖鎖の生体内における機能の研究
Project/Area Number |
16590629
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
石原 和彦 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (10104530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 健 北里大学, 医学部, 講師 (30050652)
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Keywords | 消化管 / ムチン / 粘膜傷害 / 酸性糖鎖 |
Research Abstract |
PGM34およびHCM31を用いた免疫染色によるラット小腸粘膜病変の検討:抗ガン剤である5-Fluorouracil(5-FU)を連続5日間経口投与すると、小腸に粘膜傷害がみられる。PGM34を用いた免疫染色によって、小腸杯細胞およびその分泌粘液がはっきりと染色されるため、これらの抗体を用いて、5-FU投与後の小腸粘膜傷害とその回復の過程を観察することができる。実際の結果は5日間連続投与翌日にはっきりとした粘膜傷害がみられたものが、休薬3日目、6日目となるに従って急速に回復し、6日休薬では、小腸粘液量測定の結果から対照よりも粘液量が増加する結果も得られている。さらに10日目を過ぎると非投与対照の値に近付く。これらのことから、5-FUの5日間連続投与と並行投与することによって、各種抗潰瘍薬の併用投与が、5-FU投与に伴う小腸粘膜傷害の抑制効果を示すかどうかを検討した。各種H2プロッカーの比較をしたところ、第二世代に属するラフチジンのみが有効性をしめした。またプロトンポンプ阻害剤との比較に置いても、後者は胃には有効性を示すが、小腸粘膜にはラフチジンのように傷害抑制をもたらさなかった。この研究によって、抗ガン剤とりわけフルオロウラシル系を用いて起こる化学療法の副作用を抑制するのにラフチジンが優れていることが実験的に示された。 PGM34抗体のエピトープ糖鎖構造:NMRとMALDI-TOF-MSによる解析の結果、単クローン抗体PGM34のエピトープ構造は、Fucα1-2Gal β1-4GlcNAc(6SO3H)β-であり、硫酸基とFucの両方の基が必須であることがわかった。この成果を論文にまとめて報告した。
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Research Products
(6 results)