2005 Fiscal Year Annual Research Report
IgG Fc結合蛋白含有ハードカプセルを用いた慢性大腸炎に対する新たな治療戦略
Project/Area Number |
16590631
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
緒方 晴彦 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30177117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日比 紀文 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50129623)
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Keywords | 粘膜防御 / ムチン / IgG Fc binding protein / 腸管免疫 |
Research Abstract |
腸管粘膜の防御機構に重要な役割を担っていると予想されるIgGFc結合蛋白の局在と特徴を主として免疫組織学的検討により解析した。モノクローナル抗体(K9)を用いた組織学的解析の結果、FcBPは大腸、小腸、胆嚢、胆嚢管、胆管、気管支、顎下腺ならびに子宮頸部の粘液産生細胞に発現していたが、眼球結膜においてはFcBPの発現は認められなかった。胃粘膜組織における検討では、腸上皮化生に隣接した肉眼的正常胃粘膜においてはHRP標識IgGとは反応せず、K9には弱陽性に染色される症例も一部に認められた。これとは対照的に、慢性胃炎における杯細胞様に分化した腸上皮化生をともなうムチン産生細胞においては、HRP-IgG、K9ともに全ての症例において強く染色された。さらにこの染色性は、腸上皮化生分類における完全型、不完全型いずれの場合においても同様であり、両者間に明らかな差は認められなかった。FcBPの結合能の解析では、大腸粘液においては約70-80kDにimmunoprecipitateされるバンドが認められ、これがactive FcBPと考えられ、normal mouse IgGの検討においては同様のバンドは認められなかった。鼻粘液、喀痰ならびに胆汁での検討でも同様にIgG結合能を有し、FcBPと同じ分子量に反応するバンドを検出した。以上よりFcBPは全身のムチン産生細胞を有する諸臓器に広く発現し、その粘液中において結合能を保っており、消化管のみならず外界とのバリアー機能を持つ全身の粘膜組織において防御機能を発揮していることが考えられた。 さらに、病原性大腸菌を用いた腸内細菌抗原刺激に対するIgG Fc-Binding Protein (FcBP)による防御反応をin vitroの系において解析した。ウサギ下痢原性大腸菌(RDEC-1)は抗RDEC-1ウサギIgGを介してFcBPと粘液と結合することが、FcBPに対する抗体であるK9と粘液に対する抗体であるM23を用いたELISAにて証明された。また、RDEC-1と抗RDEC-1ウサギIgGとFcBPを含む10K上清を混合培養したものではRDEC-1のコロニー数はRDEC-1に非免疫ウサギIgGとFcBPを含まないバッファーのみを混合培養したものに比し著明に減少していた。同様に抗RDEC-1ウサギIgGまたはFcBPのいずれかを含む場合でも中等度にコロニー数は減少していた。ヒト病原性大腸菌(0111)と抗0111ウサギIgGとFcBPを含む10K上清を混合培養したものでも0111のコロニー数は0111に非免疫ウサギIgGとかつFcBPを含まないバッファーのみを混合培養したものに比し著明に減少し、抗0111ウサギIgGまたはFcBPのみのどちらかを含む場合でも減少した。 以上よりムチン中に含まれるFcBPはヒトの腸管腔内に存在し、IgGを介して有害な抗原や補体による粘膜障害に対する防御機構に極めて重要な役割を果たしていることが示唆され、本蛋白をハードカプセルに含有させたdrug delively systemにむけての基礎的研究の実現性が可能になった。
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Research Products
(4 results)