2004 Fiscal Year Annual Research Report
消化管におけるCOX2を介したheregulin発現とerbB2リン酸化の役割
Project/Area Number |
16590641
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
坂本 長逸 日本医科大学, 医学部, 教授 (30196092)
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Keywords | heregulin / cyclooxygenase2 / PGE_2 / erbB3 / erbB2 / 胃線維芽細胞 |
Research Abstract |
私達は胃粘膜には恒常的にerbB2、erbB3受容体が発現していることを見出している。今年1年で、erbB3リガンドheregulinがCOX-2発現によって調節をうけるとする私達の仮説について、かなりの部分で実証した。私達は1999年、Gastroenterology(1999:117:1119-1127)に胃線維芽細胞におけるheregulin発現を報告しており、今回はその発現調節作用を検討し、以下の結果を得た。(1)胃線維芽細胞をIL-βで24時間刺激すると、COX-2発現とともに、培養液中にheregulin蛋白が増加し、このheregulin蛋白は実際にerbB3刺激活性を有する。(3)培養液中のheregulin活性は胃癌細胞erbB2のリン酸化を刺激するが、erbB3受容体抗体の添加により、erbB2、erbB3リン酸化は抑制された。(3)heregulin蛋白発現、erbB3リン酸化刺激活性は、選択的COX-2阻害剤の添加により抑制され、更にPGE2の添加によって回復することから、COX-2/PGE系路に依存する可能性がある。(4)PGE2がheregulin発現を刺激するので、cAMP誘導体、forskolinの作用を検討したところ、cAMP誘導体、forskolinともにheregulin発現とその放出を刺激することから、heregulin蛋白発現とその培養液中へのsheddingはcAMP依存性蛋白キナーゼAに依存する可能性がある。(5)PMAはheregulin蛋白発現増加を刺激することはなかったものの、pro-heregulinのheregulinへのsheddingを強く刺激し、PMAで活性化される蛋白キナーゼCのheregulin shedding刺激作用が示唆された。(6)PCRにて胃線維芽細胞におけるheregulinα、heregulinβともに発現が認められたため、両者のmRNA鎖を共に認識するプライマーを用いてheregulin mRNA発現をreal-time PCRで定量化した。IL-1βは胃線維芽細胞heregulin mRNA発現を刺激し、この刺激作用は選択的COX-2阻害剤で抑制され、PGE2添加にて回復することから、COX-2/PGE2系路はheregulinの転写活性を刺激すると考えられた。
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Research Products
(2 results)