2006 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪肝、NASH治療薬としての腸管ペプチドPYY3-36の有効性に関する研究
Project/Area Number |
16590650
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
上野 隆登 久留米大学, 先端癌治療研究センター, 教授 (70176618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥村 拓司 久留米大学, 医学部, 助教授 (60197986)
古賀 浩徳 久留米大学, 医学部, 講師 (90268855)
橋本 修 久留米大学, 医学部, 助手 (50289427)
川口 巧 久留米大学, 医学部, 助手 (00320177)
中村 徹 久留米大学, 医学部, 助手 (30341332)
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Keywords | 脂肪肝 / NASH / PYY_<3-36> / 酸化ストレス |
Research Abstract |
腸管ペプチドのひとつで、36のアミノ酸からなるPYYのフラグメントPYY_<3-36>がボランチアの健常成人やげっ歯類の食物摂取量を抑え、体重減少をもたらすことが明らかとなった(Batterham R.L. et al. Nature.Vol.418;p650-4, 2002)。そこで、私どもはZucker肥満ラットに対するPYY_<3-36>の効果を観察した。しかし、PYY_<3-36>処理・非処理群のZuckerラットの肝臓には脂肪肝、NASHの形成が認められなかった。Zuckerラットに高カロリー食を投与することで脂肪肝が形成されることが報告されていることから、これらモデルラットに対して高カロリー食を1ヶ月間投与しつつPYY_<3-36>による脂肪肝、NASH抑制効果を観察した。その結果、高カロリー食投与ラットでは肝内に著明な脂肪沈着とともに炎症細胞浸潤、マロリー体、風船化肝細胞が見られ、NASH像を呈していた。しかしPYY_<3-36>投与で濃度依存的に肝内所見は軽減するも、体重減少等の改善が望めず、ヒトへの試験的投与による臨床研究を断念した。折しも私共の研究グループは脂肪組織のnSREBP-1c(nuclear sterol regulatory element-binding protein 1c)トランスジェニックマウスが20週以降NASH像を呈することを明らかにした。このモデルマウスに抗酸化作用、脂肪組織減少作用を持つ緑茶カテキンの効果を検討した。その結果、雄NASHを呈するnSREBP-1cトランスジェニックマウスの体重の増加が抑えられ、肝/体重比の低下と肝内のNASH所見の改善が認められた。現在、肝組織中の脂質、酸化ストレス、炎症、細胞毒性関連の諸因手の発現変化を解析中である。
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Research Products
(8 results)