2004 Fiscal Year Annual Research Report
茶ポリフェノール成分による肝線維化と脂肪性肝炎の改善効果に関する研究
Project/Area Number |
16590651
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
坂田 隆一郎 久留米大学, 医学部, 助手 (70258424)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 隆登 久留米大学, 先端癌治療研究センター, 教授 (70176618)
中村 徹 久留米大学, 医学部, 助手 (30341332)
|
Keywords | 緑茶 / カテキン / 肝線維化 / 肝硬変 / 肝星細胞 / 酸化的ストレス / 抗酸化作用 / ポリフェノール |
Research Abstract |
緑茶にはカテキン類と称されるポリフェノール成分が含まれており、その抗腫瘍作用や抗動脈硬化作用が注目を集めている。本年度の研究では、dimethylnitrosamine(DMN)により誘導した実験的ラット肝硬変に対するin vivoによるEGCGの肝線維化進展抑制効果を検討した。9週齢のラットにDMNを投与し、21日間で硬変肝を作成した(LC群)。一部のラットには同時にEGCG 10mg/kgを連日静脈内投与した(EGCG群)。血液生化学としてAST、ALT、LDH、総蛋白、アルブミン、総ビリルビンについて検討した。ヘマトキシリン・エオジン染色およびアザン染色にて肝組織学的変化を検討した。次に、免疫組織染色で肝内α-smooth muscle actin(α-SMA)発現細胞の局在と、酸化的ストレスの評価のため4-hydroxynonenal(HNE)と8-hydroxy-2'-deoxyguanosine(OHdG)発現細胞の局在を検討した。さらに肝組織中の線維成分のmRNA発現量を検討した。 その結果、血液生化学的検討ではLC群に比べ、EGCG群では血清AST、ALTおよび総ビリルビン値の低下を認めた。組織学的検討ではLC群の肝組織で偽小葉形成とそれを取り囲む繊維束が観察され、類洞に沿ってα-SMA陽性細胞(HSC)が多く観察されたが、EGCG群ではそれらの変化はきわめて軽度であった。LC群ではHNEとOHdGの陽性細胞は主に類洞内や線維束内に観察されたが、EGCG群ではそれらの陽性細胞は少数であった。肝組織のI・III型コラーゲンとファイブロネクチンのmRNA発現量はLC群に比べEGCG群で有意に減少していた。 今回の検討から、EGCGの投与により肝硬変ラットモデルの肝線維化進行が抑制され、その機序として肝星細胞の増殖抑制や細胞外基質産生抑制効果とともに肝非実質細胞への抗酸化作用の関与が示唆された。
|
Research Products
(1 results)