2004 Fiscal Year Annual Research Report
心筋代謝と神経体液・免疫性因子による心室リモデリングの解明
Project/Area Number |
16590677
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
蔦本 尚慶 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (40197695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 厚幸 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (10273400)
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Keywords | tumor necrosis factor α / lrft ventricular remodeling / carvedilol / cytokine / inflammation / torasemide / aldosterone |
Research Abstract |
拡張型心筋症による心不全患者でtumor necrosis factor α (TNFα)を冠状静脈洞と大動脈で測定した結果、TNFαは心臓で産生されていることがあきらかになり、その産生量と左室容積が正相関し、左室駆出率と逆相関することが判明した。左室リモデリング抑制作用と予後改善作用があるカルベジロール投与前後での検討では、TNFαの心臓での産生低下にしたがい心機能は改善した。従って、拡張型心筋症による心不全患者で炎症性サイトカインであるTNFαは心不全進展に重要である可能性が明らかになった(Eur J Heart Fail. 6:173-80:2004)。 心不全患者を対象としたトラセミドとフロセミドの非無作為オープン群間比較試験であるTORIC試験(Torasemide in chronic heart failure : results of the TORIC study. Eur J Heart Fail. 2002. 4:507-513)において、トラセミド群(n=788)がフロセミド群(n=599)に比べ、総死亡率、心臓死が有意に低いことが報告された。ループ利尿薬にであるトラセミドに抗アルドステロン作用がある可能性も指摘されており、この研究でも2群間では血清カリウム濃度はトラセミド群で保持されていた。そこで以前に報告したスピロノラクトンの抗アルドステロン作用(J Am Coll Cardiol 2000;36:838-44)と同様に、今回トラセミドの心臓におけるアルドステロンの取り込みに及ぼす影響をフロセミド群(n=30)と比較したところ、トラセミド群(n=30)において心臓におけるアルドステロンの取り込みは有意に抑制された(J Am Coll Cardiol 44:2252-2253,2004)。この結果は、TORIC試験におけるトラセミドの予後改善効果に、抗アルドステロン作用(心臓における)が関与している可能性が示唆される。また、トラセミドの抗アルドステロン作用には用量依存性があることが示唆された。
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Research Products
(3 results)