2004 Fiscal Year Annual Research Report
熱ショック蛋白質(HSP72)の抗TNFα作用による肥満糖尿病の心血管病制御
Project/Area Number |
16590699
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
高橋 尚彦 大分大学, 医学部, 助手 (30263239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大家 辰彦 大分大学, 医学部, 助手
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Keywords | 熱ショック蛋白質 / TNFα / インスリン抵抗性 / 虚血再灌流障害 |
Research Abstract |
ラットに6週間,高脂肪食または普通食を与え,HSP72誘導剤であるゲラニルゲラニルアセトン(GGA)を投与した24時問後に,心臓におけるHSP72発現解析,および摘出心灌流実験を行った。高脂肪食はインスリン抵抗性を惹起し(経口糖負荷およびインスリン耐用試験で確認),血中TNFα濃度が高値を示した。高脂肪食ラット心臓におけるHSP72発現は普通食ラット心臓より減弱していた。摘出灌流心に20分間全心虚血後30分間再灌流を施したところ,高脂肪食心では普通食心に比し,再灌流時の心機能回復が低下していた。高濃度のインスリンを含む灌流液を使用すると,GGA非投与の高脂肪食心および普通食心では再灌流時の心機能回復が低下したが,GGAを投与したラット心の心機能回復は保持された。以上の結果から,高脂肪食により惹起されたインスリン抵抗性ラットの心臓では,誘導剤に対するHSP72発現が減弱しており虚血耐性を減弱させる機序と考えられた。推測ではあるが,その病態にはTNFαの炎症作用が関与し,GGAにより誘導されたHSP72はこれに拮抗的に作用した可能性がある。本研究の成果は,Life Science誌に受理され掲載予定である。これ以外に,(1)高庶糖食によって作成したインスリン抵抗性ラットの心室筋細胞では,troglitazoneによるL型Ca電流阻害が減弱していること(J Cardiovasc Phamacol,2004),(2)女性ホルモン(estrogen)がHSP72誘導を転写レベルで抑制すること(J Mol Cell Cardiol,2004),(3)GGA投与は虚血再灌流時の冠動脈内皮機能を保持すること(J Cardiovasc Pharmacol, in press)などを明らかにした。
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Research Products
(4 results)