2005 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化におけるアポ蛋白Jの作用解明と治療への応用
Project/Area Number |
16590701
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
宮田 昌明 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (00347113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鄭 忠和 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10163891)
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Keywords | 動脈硬化 / 血管リモデリング / アポ蛋白J / 再狭窄 / ノックアウトマウス / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
昨年度、アポ蛋白Jを血管に過剰発現するトランスジェニックマウス(apoJ-Tg)とアポ蛋白Jを欠損するノックアウトマウス(apoJ-KO)の大腿動脈にポリエチレンカフを装着する血管傷害モデルにて、apoJが新生内膜肥厚を促進し、抗p53抗体、抗p21抗体および抗p27抗体を用いた免疫組織化学染色でアポ蛋白J欠損は細胞周期停止により新生内膜肥厚を抑制することを明らかにした。今年度は、さらにアポ蛋白Jと細胞周期との関連を検討した。ラット培養血管平滑筋細胞を用い、アポ蛋白JのアンチセンスオリゴやsiRNAでアポ蛋白Jの発現を抑制したところ、細胞周期がG1停止になることをフローサイトメトリーにて明らかにした。 また、高脂血症による動脈硬化易発症マウスであるアポ蛋白E欠損マウス(apoE-KO)とapoJ-KOを交配することにより、apoJ-KO/apoE-KOを作成し、動脈硬化形成におけるアポ蛋白Jの作用を検討した。その結果、apoJ-KO/apoE-KOの動脈硬化巣の面積はapoE-KOに比し有意に抑制されていた(0.18±0.07 vs 0.34±0.05mm^2,P<0.05)。さらに免疫組織化学染色では、apoE-KOにおいて動脈硬化巣の平滑筋細胞にNFκBとB-MYBともに発現を認めたが、apoJ-KO/apoE-KOではNFκBとB-MYBともに発現を認めなかった。以上より、アポ蛋白JはNFκBとB-MYBを介して動脈硬化促進作用を有することを初めて明らかにした。 臨床における動脈硬化と血中アポ蛋白J濃度との関連を検討するためにアポ蛋白JのELISA測定系を完成させた。冠動脈疾患を有する患者においてアポ蛋白Jの血清濃度を測定したところ、糖尿病を合併する患者群では、糖尿病を合併しない群に比べ有意に高値を示すことを明らかにした。現在、血管形成術後再狭窄に関する検討を進めている。
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Research Products
(3 results)