2005 Fiscal Year Annual Research Report
虚血心筋におけるギャップ結合の機能ならびに蛋白発現を制御する細胞情報伝達機構
Project/Area Number |
16590702
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
三浦 哲嗣 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (90199951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 隆幸 札幌医科大学, 医学部, 助手 (00336405)
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Keywords | gap junction / ischemia / signal transduction / connexin / protein kinase C / MAP kinase / mitochondria / ATP-sensitive K+ channel |
Research Abstract |
心筋細胞のミトコンドリアK_<ATP>チャネルの活性化によるギャップ結合透過性の変化とその機序の検討 平成16年度の結果よりミトコンドリアK_<ATP>チャネル(mK_<ATP>ch)開口が活性酸素の産生を介してERK1/2を特異的に活性化すること、また活性化されたERKがギャップ結合透過性を低下させることが明らかにされた。そこで本年度は、mK_<ATP>ch開口によって活性化されたERKがギャップ結合透過性に影響する機序を解析した。mK_<ATP>ch選択的開口薬であるdiazoxideの投与により、(1)心筋ギャップ結合の構成蛋白であるコネキシン43とERK1/2が蛋白-蛋白結合することが免疫沈降実験より示され、また(2)コネキシン43のERKリン酸化部位であるSer279/282のリン酸化レベルが約50%上昇すること、またこの変化は少なくとも虚血10分後まで維持されることが認められた。これらの成績より、mK_<ATP>ch活性化によるギャップ結合透過性の抑制には活性化ERKがコネキシン43と直接結合しそのSer279/282をリン酸化することが寄与していると考えられた。 δ-Opioid receptorの活性化による心筋虚血耐性の増強におけるギャップ結合の役割 平成16年度の検討から、(1)δ-Opioid receptorをその選択的作動薬であるDADLEで選択的に刺激することにより心筋梗塞に対する耐性が増強すること、(2)DADLEの投与によりERK1/2ならびにPKCの活性化が起こり、PKC-εがコネキシン43と複合体を形成すること、また(3)コネキシン43のPKCリン酸化部位であるSer368のリン酸化レベルが上昇することが示された。本年度は、このPKCによるコネキシン43リン酸化のギャップ結合透過性制御への関与と他の蛋白キナーゼとコネキシン43との関連を検討した。25分間虚血の条件における心筋ギャップ結合透過性を、Lucifer yellowをトレーサーとして測定すると、DADLEの前処置によりギャップ結合透過性は約40%に抑制された。さらにこのDADLEの効果はPKC阻害薬であるcalphostin Cにより遮断された。また免疫沈降実験によりc-Src、p38MAP kinase、PKC-εとコネキシン43との結合が虚血後に有意に増加することが示された。従って、δ-opioid receptorを虚血前に刺激することは、虚血時のコネキシン43とPKC-εとの結合を促進することによって、ギャップ結合透過性を抑制し心筋保護に関与していると考えられた。虚血心筋におけるコネキシン43とc-Src、p38MAP kinaseとの結合の意義については今後の課題として残された。
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Research Products
(1 results)