2004 Fiscal Year Annual Research Report
神経調節性失神の病態機序解明と新しいトレーニング治療法の確立
Project/Area Number |
16590724
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
安部 治彦 産業医科大学, 医学部, 講師 (70231967)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安増 十三也 産業医科大学, 産業保健学部, 助手 (00320367)
|
Keywords | 神経調節性失神 / 起立調節訓練 / head-up tilt |
Research Abstract |
平成16年度においては、以下の研究を行った。再発性失神発作を主訴に来院し、head-up tilt検査(80度、30分)で神経調節性失神と診断された患者で、自宅あるいは職場での起立調節訓練(orthostatic self-training)にて治療をおこなわれた23名(男性9名、女性14名;平均年齢27歳)の神経調節性失神患者のその後のトレーニング継続状況と、失神発作の再発の有無について調査を行った。失神の罹病期間は平均4、3年で、フォロー期間は平均32ヶ月であった。トレーニング治療開始後1ヶ月以内で全例30分間の起立が可能となった。調査の結果、1年以上訓練を継続した患者は全体の12.5%であり、残りは1年以内に治療を自己中止していた。1年以上治療継続者には失神の再発は1例も認めなかった。1年以内に自己中止した患者で失神の再発を認めた者は、僅か1名のみであった。起立調節訓練で治療された患者は、失神の発生原因、病態、予防についての理解を深め、失神時の原因を自己分析していた。即ち、失神の発症に種々のストレスが深く関与していたことを自覚していた。平均37ヶ月のフォロー期間での観察では、全患者が症状の軽快を自覚していた。総括:起立調節訓練は患者の自宅や職場でいつでも自由に行うことができ、患者はこのトレーニングを行うことで、原因や病態を理解し、自分で予防するようになることが判明した。本研究において、再発性失神患者に対する治療介入の必要性の確認と長期治療継続についての必要性がないこと、失神の原因を自覚させていることが本治療法の有効性の本質である可能性が示唆された。
|
Research Products
(18 results)