2004 Fiscal Year Annual Research Report
TAM-67を用いた転写因子AP1を標的とする肺癌の遺伝子治療に関する基礎的検討
Project/Area Number |
16590729
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木下 一郎 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (40343008)
|
Keywords | 肺癌 / 遺伝子治療 / AP-1 / 分子生物学 / 転写因子 / トランスフォーメーション / c-jun |
Research Abstract |
【目的】多くの増殖シグナルに関与する核内転写因子AP-1は、遺伝子・分子標的治療の強力な標的となる可能性がある。特に肺癌およびその前癌病変ではAP-1の主要成分であるcJunの発現が高頻度に上昇しており、AP-1は肺癌の合理的な分子標的となり得る。本年度は、肺非小細胞癌細胞株を用いてc-jun遺伝子のdominant negative mutantであるTAM67によるAP-1転写活性の抑制とその細胞増殖に与える影響を検討した。 【方法】肺非小細胞癌細胞株H520とH1299にTAM67発現ベクターまたはコントロールベクターを遺伝子導入し、TAM67によるAP-1活性の抑制をルシフェラーゼ法で、細胞増殖に与える影響をコロニー形成法で検討した。次に、TAM67の発現がテトラサイクリンで誘導されるH1299娘細胞株を作成し、TAM67による細胞増殖能の変化をMTT法で、細胞周期の変化についてフローサイトメトリーにて検討した。さらに、足場非依存性増殖の変化をソフトアガロース法にて検討した。 【結果】両細胞株でTAM67の一過性導入によりAP-1活性が抑制された。コロニー形成数はH520では変化しなかったが、H1299では著明に減少した。テトラサイクリンによってTAM67が高度に誘導されるH1299娘細胞では、TAM67発現によってAP-1活性と増殖能が共に抑制された。フローサイトメトリーでは、TAM67発現によってG1期からS期への移行が抑制された。ソフトアガロース法においても、TAM67発現によって足場非依存性増殖が著明に抑制された。これらの変化はテトラサイクリンによってGFPが誘導されるコントロール細胞では観察されなかった。 【結論】少なくとも一部の肺癌細胞ではAP-1活性が増殖に必須であり、AP-1が肺癌の遺伝子・分子標的治療の標的になる可能性が示唆された。
|
Research Products
(4 results)