2004 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍血管新生阻害作用を有する樹状細胞を用いた肺癌に対する新規治療法の開発
Project/Area Number |
16590752
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中西 洋一 九州大学, 医学研究院, 教授 (20172356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高山 浩一 九州大学, 病院・講師 (50274444)
原田 大志 九州大学, 医学研究院, 助手
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Keywords | 樹状細胞 / 血管新生阻害 / 免疫療法 / 遺伝子療法 |
Research Abstract |
マウス骨髄細胞からサイトカインを用いて分化させた樹状細胞に可溶性VEGF受容体遺伝子を導入した結果、樹状細胞単独と比べてVEGF添加培地における樹状細胞のアポトーシスが有意に減少する結果となった(AnnexinV-FACs assay)(21% vs. 56%)。よって、腫瘍組織内において可溶性VEGF受容体遺伝子導入樹状細胞は腫瘍細胞から分泌されるVEGFのアポトーシス作用を阻害しうる可能性が示唆された。 また、樹状細胞に生理活性物質であるα-GalCerを添加した結果、細胞状の表面マーカーはMHC class I, II・B7-1,2ともに変化を認めず、樹状細胞自体の成熟度には影響を及ぼさない結果となった(FACs assay)。さらに貪食能(Latex-Beads assay)・抗原提示能(HEL-protein assay)・T細胞増殖能(MTT-assay)についても検討したが、α-GalCerによる変化を認めなかった。一方でCD1dは活性化することより、α-GalCerと接触した樹状細胞はT細胞・B細胞を刺激するのではなくてNKT細胞を活性化することが確認された。さらに担癌マウスモデルを作成し、予めin vitroでα-GalCerを添加した樹状細胞を注入すると、無治療群や樹状細胞単独投与群及びα-GalCerと樹状細胞を同時に投与した群と比較して有意に腫瘍重量の縮小効果を認めた(0.24g vs. 4.65g vs. 0.95g vs. 1.06g)。以上の結果より、体内より採取した樹状細胞とα-GalCerを共培養すると腫瘍縮小効果が得られることが確認され、さらに可溶性VEGF受容体遺伝子を導入することにより更なる抗腫瘍作用が期待される。
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