2005 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍血管新生阻害作用を有する樹状細胞を用いた肺癌に対する新規治療法の開発
Project/Area Number |
16590752
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Research Institution | KYUSHU UNIVERCITY |
Principal Investigator |
中西 洋一 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20172356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高山 浩一 九州大学, 大学病院, 講師 (50274444)
原田 大志 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (10380619)
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Keywords | 樹状細胞 / 腫瘍免疫療法 / VEGF |
Research Abstract |
マウス骨髄細胞から培養して分化させた樹状細胞に、分泌型VEGF受容体遺伝子及び特異的生理活性物質であるα-ガラクトシルセラミドを細胞内に導入した。導入された樹状細胞は活性化し、成熟型へと変化を認め、細胞表面上に共刺激分子を強発現するようになった。また異系リンパ球に対する増殖刺激能も亢進し、抗原提示能も増強した。VEGFを樹状細胞に添加すると、樹状細胞はアポトーシスが生じて不活性化するが、分泌型VEGF受容体遺伝子を導入した樹状細胞は、VEGF存在下においても抑制されることなく免疫活性を保持しえた。また、α-ガラクトシルセラミドを細胞内に導入した樹状細胞は、NKT活性が著明に増強された。実際に、マウスに肺癌細胞株及び悪性黒色腫細胞株を生着させ、両者を導入した樹状細胞を担癌マウス体内へ再投与すると、樹状細胞は腫瘍組織内へ遊走し抗腫瘍活性を示した。腫瘍量も無治療群及び樹状細胞単独群と比較して、導入済み樹状細胞を投与した群で有意に抑制された。さらに、樹状細胞に抗癌剤を投与すると、DNA合成能は低下するものの樹状細胞の抗原提示能は比較的保たれていた。分泌型VEGF受容体遺伝子及びα-ガラクトシルセラミドを導入した樹状細胞においても同様の結果であった。担癌マウスへ樹状細胞並びに抗癌剤を同時投与すると、両者併用群では単独群より強い腫瘍抑制効果が得られた。一方、抗癌剤と併用する樹状細胞に対して、導入による追加効果を検討したが、導入の有無と抗腫瘍効果に有意差は認められなかったものの、樹状細胞にα-ガラクトシルセラミドを導入した群では、未導入群と比較して腫瘍縮小効果が大きい傾向が認められた。
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