2006 Fiscal Year Annual Research Report
複数の癌特異的蛋白を同時標的とした肺癌の効果的な治療薬の開発
Project/Area Number |
16590754
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
早田 宏 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教授 (60244042)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上平 憲 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (80108290)
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Keywords | ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬 / 上皮増殖因子受容体阻害薬 / 肺癌 / テロメラーゼ / アポトーシス / 粘液産生 / 薬剤耐性 / シグナル伝達系 |
Research Abstract |
我々はこれまでヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬が肺小細胞癌のテロメラーゼ遺伝子発現を抑制すること、また、そのアポトーシス誘導がミトコンドリアを介したカスパーゼ依存性アポトーシスであることを見いだした。さらに、Bcl-2およびBcl-xLの遺伝子発現を抑制し抗腫瘍効果を増強することを証明した(Molecular Cancer Therapeutics, 2004)。腫瘍細胞に特異的に発現しているSurvivinに対してHDAC阻害薬が同様に遺伝子発現抑制効果があり、survivinの転写抑制には新規の蛋白合成が必要であることが判明した。これらの転写抑制は薬剤投与後6時間で認められるが、蛋白レベルの低下は24時間後であり、アポトーシスの直接的な誘因というよりも増強因子であった。HDAC阻害薬は肺小細胞癌の不死化とアポトーシス回避の抑制効果を有し、肺小細胞癌の有望な分子標的薬の可能性が示唆された(AACRミニシンポジウム発表)。 一方、肺非小細胞癌では上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害薬が治療薬として使用されている。EGFR阻害薬は細胞増殖抑制効果とともにテロメラーゼ活性の抑制があり、細胞増殖因子と細胞不死化のクロストークが示唆された。EGFR阻害薬のテロメラーゼ活性阻害作用はE2F-1の転写抑制作用を伴っていることを見いだした(Anticancer Research, 2006)。また、EGFR阻害薬が腺癌での奏効率が高いことより、粘液産隼への効果を検討したところ、細胞増殖抑制効果とは別に粘液産生抑制効果を認め、AKTおよびMAPKシグナル伝達系の両者が関わっていた(Lung Cancer, 2005)。さらに、薬剤排出ポンプへの影響を検討したところ、EGFR阻害薬はBCRP/ABCC2やP糖蛋白の機能を阻害しアポトーシス回避を抑制する作用が判明した(CancerResearch, 2005 ; Lung Cancer, 2005)。さらに、肺非小細胞癌細胞株においてBCRP/ABCG2の発現レベルがその基質であるTopoisomerase-I阻害薬の耐性度とEGFR阻害薬による耐性克服度と強い相関があることを見いだした(Cancer Chemother Phrmacol, 2006)。また、EGFR阻害薬による進行肺癌長期生存例の検討より、女性、腺癌、非喫煙者、EGFR変異とともに、肺内多発転移、耐性後の再投与効果例が3年以上の長期生存と関わっている可能性を見いだした(Lung Cancer, 2006)
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Research Products
(6 results)