2004 Fiscal Year Annual Research Report
klotho遺伝子による腎保護作用の機序解明と腎不全治療への応用
Project/Area Number |
16590776
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
齋藤 勇一郎 群馬大学, 医学部, 助手 (30344922)
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Keywords | klotho遺伝子 / 血管内皮 / 高血圧 / アルブミン排泄 / 腎不全 |
Research Abstract |
Dahl食塩感受性高血圧ラットの腎臓におけるklotho mRNAの発現低下と血管内皮機能障害の有無について検討した。さらに、アデノウィルスベクターを用いてklotho遺伝子を導入することにより内皮機能低下と腎障害の進行を抑制できるか否かを明らかにした。 6週令のDahl食塩感受性高血圧ラットに8%高食塩食または0.3%低食塩食を与えた(n=6)。11週令にて,アセチルコリンによる内皮依存性血管弛緩反応,尿中のNO代謝産物,尿中アルブミンを測定した。次に、マウス膜型klotho cDNA全長を含むアデノウィルスベクターを作成した。klotho導入群は,8週令から週1回,3週間5x10^8pfuを大腿に筋注した(n=7)。さらに、腎臓組織のHE染色を行い,糸球体の腫大と血管周囲の繊維化について検討した。高食塩食の収縮期血圧は261±11mmHgに上昇しており(低食塩食144±7mmHg),アセチルコリンによる血管弛緩反応は,低食塩食群98±2%に比べ,43±6%に減弱していた。腎臓におけるklotho mRNAの発現も有意に減少していた。klotho導入群では,筋注をした局所にklotho遺伝子の発現が認められた。klotho導入群の収縮期血圧は233±6mmHgであり,アセチルコリンによる血管弛緩反応は,61±9%に改善していた。尿中アルブミンは,無処置のラット(656±220mg/目)に比べ96±24mg/日に減少していた。また,腎臓の組織所見では,klotho導入群において,糸球体の腫大と血管周囲の線維化の抑制が認められた。 Dahl食塩感受性高血圧ラットにおいて,klotho mRNAの発現減少と血管内皮機能障害が同時に認められた。klotho遺伝子の導入により,血管内皮機能障害は一部改善し,腎機能障害の進行の抑制が観察された。klotho遺伝子は腎保護作用を有する可能性がある。
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Research Products
(6 results)