2005 Fiscal Year Annual Research Report
体液量と血圧調節機構におけるペルオキシゾーム増殖因子受容体アゴニストの意義
Project/Area Number |
16590779
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関 常司 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30206619)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野入 英世 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (00301820)
|
Keywords | チアゾリジン系薬剤 / 浮腫 / ERK |
Research Abstract |
チアゾリジン系薬剤(TZD)はインスリン抵抗性を改善させる作用を有し、2型糖尿病の治療薬として広く用いられていが、体液貯留・浮腫などの副作用が大きな問題となっている。TZDによる浮腫形成のメカニズムを探るために近位尿細管作用を検討した。その結果、TZDはERK経路を介してごく短時間(5分以内)のうちにウサギ近位尿細管のNa-HCO3共輸送体活性を増加させ、また重炭酸再吸収を著明に増加させることが判明した。またこれらの作用はPPARγ阻害剤により抑制された。一方、野生型マウス由来の繊維芽細胞ではTZDはERKを介して短時間のうちにNa/H交換輸送体活性を増加させた。しかしPPARγ欠損マウス由来の繊維芽細胞ではこの作用が消失しており、PPARγ全長遺伝子導入後に回復した。これらの結果よりTZDはPPARγを介してERKを活性化させ、その結果近位尿細管再吸収を亢進させることが示された。ただしこの作用には種差が存在することも示された。 一方、平行してインスリンの近位尿細管作用を検討した。野生型マウス由来の尿細管において生理的濃度のインスリンはPI3キナーゼを介して重炭酸再吸収量を亢進させた。このインスリン作用はインスリン受容体基質(IRS)-1欠損マウスでは同様に保たれていたが、IRS-2欠損マウスでは著明に減弱していた。これらの結果よりインスリンの近位尿細管再吸収亢進作用がPI3経路を介しており、またIRS-2が中心的な役割をはたしていることが示された。ITR-1の異常を基盤にしたインスリン抵抗性においてはIRS-2を介したインスリンのNa貯留作用が保たれており、これが高血圧発症の原因の一つであると考えられた。
|
Research Products
(4 results)