2004 Fiscal Year Annual Research Report
ケモカインを介した腎発生ならびに再生機序とその制御
Project/Area Number |
16590784
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
和田 隆志 金沢大学, 医学部附属病院, 助手 (40334784)
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Keywords | IP-10 / CXCR3 / 腎臓 / 線維化 / ケモカイン / 尿細管上皮細胞 / TGF-beta / HGF |
Research Abstract |
Interferon-inducible protein-10(IP-10)/CXCL10およびその受容体CXCR3を介する再生/修復機構の解析とその制御を検討する目的で,進行性腎線維化モデルにおける意義を検討した.IP-10は正常腎においてはほとんど発現がみられないが,尿管結紮により間質浸潤細胞ならびに尿細管上皮細胞に発現を認めた.一方,CXCR3は,間質線維化進行過程において尿細管上皮細胞ならびに浸潤細胞に発現を認めた.抗IP-10中和抗体投与群においてCXCR3陽性細胞数の増加を認めた.実際,培養マウス尿細管上皮細胞において,H_2O_2ならびにIFN_<-γ>存在下でIP-10/CXCR3mRNA発現は経時的に増加した.この進行性腎線維化モデルにおいて4日,7日目に腎間質線維化率の増加を確認した.さらに組織コラーゲン含有をあらわすハイドロキシプロリン量も増加した.この線維化は抗IP-10中和抗体を用いたIP-10機能阻害により促進された.加えて,TGF_<-β_1>蛋白ならびにmRNAの腎での発現は増加した.この発現は,抗IP-10中和抗体投与によりさらに亢進した.一方,線維化抑制効果を示すと考えられているHGFmRNA発現も同様に増加した.抗IP-10中和抗体はこのHGFmRNA発現を抑制した.培養マウス尿細管上皮細胞においてH_2O_2存在下のTGF_<-β_1>mRNA発現はリコンビナントIP-10添加により減少し,抗IP-10中和抗体により増加した.以上の結果より,抗IP-10中和抗体投与により腎線維化促進効果がみられ,この機序として尿細管上皮細胞でのTGF_<-β_1>発現亢進ならびにHGF発現低下を介していることが推測された.以上より,IP-10は腎予後に関連する腎間質線維化に対して進展抑制効果を有することが示唆され,腎間質の修復機構への関与が推測された.
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