2004 Fiscal Year Annual Research Report
血栓性微小血管障害症での高度腎機能障害の成因としてのADAMTS13解析
Project/Area Number |
16590796
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
松本 雅則 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (60316081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤村 吉博 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (80118033)
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Keywords | TTP / ADAMTS13 / VWF / 腎機能障害 / 膠原病 / HUS |
Research Abstract |
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)はMoschowitzの5徴候を主徴とする全身性重篤性疾患である。これに対して、溶血性尿毒症症候群(HUS)は、Gasserの3徴候を特徴とする疾患であるが、この3徴候はTTPの5徴候に含まれ、TTPとHUSを臨床的に鑑別することは困難で血栓性微小血管障害症(TMA)と診断されることが多かった。これらの中で、腎機能障害が強い症例はHUSと診断されることが多く、また膠原病合併TTPの症例、特に強皮症で高度腎障害の症例が多数認められる。また、腎機能障害が予後因子となることが多く、高度腎障害例は予後が悪い。近年、血漿von Willebrand因子切断酵素(VWF-CP、別名ADAMTS13)活性とこのインヒビターの測定法が確立され、同活性著減によりTTPの確定診断が可能となった。このアッセイの基本はVWFマルチマー解析であるが、私のラボはこれが実施可能な本邦の代表的施設として平成16年10月末までに493例のTMAのADAMTS13活性およびインヒビターの解析を終了した。その中で、後天性特発性TTPは166例あり、93例(56%)の症例で、インヒビターの存在によって、ADAMTS13活性が著減していた。膠原病合併TTPは111例あり、そのうちADAMTS13活性が著減する症例は18例(16%)に過ぎず、23例(21%)は活性がほぼ正常であった。また、後天性HUSは71例あり、特発性:48例、0157:17例、Mitomycin:6例であった。HUS症例では、1例もADAMTS13活性が著減している症例を認めなかった。これらの、膠原病合併TTPやHUS症例の中に、高度の腎障害例が存在しているが、ADAMTS13活性が著減している症例は極めて少数例で、これらの症例はADAMTS13以外の病因が予想される。その候補として、補体調節因子であるfactor Hがあるが、これに対するモノクローナル抗体を6種類作成し、現在解析中である。今後、集積した症例の中で高度の腎機能障害例を抽出し、これらの症例においてADAMTS13とfactor Hの解析を行っていく予定である。
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Research Products
(7 results)