2005 Fiscal Year Annual Research Report
腎臓におけるCOX2、プロスタグランジンE2,F2αの相互調整機序の検討
Project/Area Number |
16590798
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
斎藤 修 自治医科大学, 医学部, 助手 (10285778)
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Keywords | プロスタグランジンF2α / Fp受容体 / Gq protein |
Research Abstract |
<背景>近年、抗炎症剤としてのCOX2選択的阻害薬は消化性潰瘍の発生頻度が低いため有用とされているが.高齢者における聞質性腎症発症率の増加が報告されている。しかしその発症機序は明らかではなく、腎臓におけるCOX2の果たす役割は不明な点が多い。本研究ではCOX2により産生されるプロスタグランシンF2α(PGF2α)の受容体Fp receptorについて腎臓における発現部位・生理作用、情報伝達系を検討した。 <方法>rabbit Fp receptor塩基配列をクローニングし、この塩基配列を用いてIn situ hybridizationを行ない腎臓におけるFp receptorの局在を明らかにした。また、rabbitより単離した皮質集合尿細管(CCD)を用いて、micro perfusionを行い、電位変化を確認した。更にFp receptorの細胞内情報伝達系に関する検討ではHEK293 cellにFp receptor geneを過剰発現させた細胞を作成し検討した。 <結果>In situ hybridizationにてrabbitのFp receptor mRNAはCCDに特異的に発現していることが明らかとなった。この受容体の生理学的機序に対する検討としてCCDでのMicro perfusionをおこなった。結果、PGF2αの血管側より投与ではナトリウム再吸収には関与していないことが明らかとなり、バゾプレッシンの水再吸収作用のみを抑制した。また、この反応は細胞内カルシウム濃度の上昇を来し、卵巣細胞や線維芽細胞で報告されているGq蛋白をかいする経路としては非典型的であることから、更に検討したところGq阻害薬では抑制されず、Gi蛋白阻害薬であるpertussis toxinにて抑制された。この結果から腎でのFp receptorは他の細胞と異なる情報伝達系をかいする可能性が示唆され腎由来のHEK293細胞に対してFp receptor geneを過剰発現させて検討したところ、CCDで認められたのと同様なGi蛋白を介する情報伝達系が賦活化されることが明らかとなった。 <結論>皮質集合尿細管に存在するFp receptoははナトリウム再吸収には関与せず、バゾプレッシンの水再吸収作用のみを抑制した。この作用は卵巣細胞や線維芽細胞とは異なり尿細管においてはGq蛋白ではなくGi蛋白による別経路の情報伝達系を介することが明かとなった。
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Research Products
(1 results)