2006 Fiscal Year Annual Research Report
腎臓におけるCOX2、プロスタグランジンE2,F2αの相互調整機序の検討
Project/Area Number |
16590798
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
斎藤 修 自治医科大学, 医学部, 講師 (10285778)
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Keywords | プロスタグランジF2α / プロスタグランジE2 / 慢性腎不全 / 閉塞性動脈硬化症 |
Research Abstract |
<背景>臨床上閉塞性動脈硬化症の治療薬としてプロスタグランジン(PG)製剤が使用されている。PGE1製剤は血管拡張効果を有するとされているが、閉塞性動脈硬化症をはじめとする血管閉塞性疾患での血中濃度変化は明らかではない。本研究では糖尿病性腎症や閉塞性動脈硬化症・透析患者での動静脈シャント閉塞症例での血中PG濃度および抗動脈硬化作用を有するとされるアデポネクチン,内皮細胞障害マーカーであるICAM-1,VCAM-1,CD146を測定し、血管閉塞性疾患での各種液性因子の役割を検討した。 <方法>以下の症例を対象として、血中PG,アデポネクチン,ICAM-1,VCAM-1,CD146をELISA法にて測定した。そして患者背景・臨床症状などと比較検討した。 糖尿病性腎症患者280例;1-5期に分類して、各種データを検討した。 慢性腎不全を有する閉塞性動脈硬化症患者40例と腎機能正常な閉塞性動脈硬化症患者40例にて、各種データを比較検討した。 血液透析施行している動静脈シャント閉塞症例80例と対照血液透析患者80例にて、各種データを比較検討した。 <結果> 糖尿病性腎症患者における検討;腎症各時期において、血中PGE2,PGF2,ICAM-1,VCAM-1濃度には有意な変化はみられなかった。しかし糖尿病性腎症病期が進行するとアデポネクチン・CD146濃度は有意に上昇した。慢性腎不全患者では腎機能正常者に比較してアデポネクチン・CD146濃度は有意に高値を示した。慢性腎不全患者および腎機能正常者両群において閉塞性動脈硬化症を有する患者では有意にアデポネクチン低値・CD146高値を示した。血中PGE2,PGF2,ICAM-1,VCAM-1濃度には有意な変化はみられなかった。 動静脈シャント閉塞症例は対照群に比してアデポネクチン低値・CD146高値を示したが、血中PGE2,PGF2,ICAM-1,VCAM-1濃度には有意な変化はみられなかった <結論>血中PG, ICAM-1,VCAM-1は閉塞性血管病変を表すマーカーには適さないことが示唆された。しかし臨床上、PG E2受容体に対して桔抗作用を有するプロスタグランシンE1製剤が内シャント狭窄血管においても有意な拡張用を有していることが既に臨床上も明らかにされており、内シャント血管狭窄においては局所におけるPG産生亢進ではなく、その受容体の発現が亢進している可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)