2006 Fiscal Year Annual Research Report
IgA腎症の成因と治療法の検討-ヒトIgA1糸球体沈着動物モデル作成とその適用-
Project/Area Number |
16590804
|
Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
比企 能之 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教授 (20156566)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 敏 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (50340229)
|
Keywords | IgA1ヒンジ / O結合型糖鎖 / IgA腎症 / KMマウス / ガラクトース / シアル酸 |
Research Abstract |
一昨年度、酵素処理によりシアル酸とガラクトースを除去した糖鎖不全IgA1を作成し、IgAを含むヒト型免疫グロブリン産生キメラマウス(KMマウス)に投与すると全例(14/14)でIgAのメサンギウム沈着を観察した。これを踏まえ、昨年度はヒト合成IgA1ヒンジペプチドで前感作後に糖鎖不全IgA1を投与して、その沈着性、組織障害惹起への影響を検討した。本年度も引き続き、前感作を合成ヒンジとともに合成Ga1NAC結合ヒンジ糖ペプチドと非免疫群の3群でn数を増加させて比較した。 合成ヒトIgA1ヒンジペプチドを作成し、これにKLHを結合させてcomplete adjuvantとともに2Wおきに3回前感作した免疫群(n=12)とコントロール群(n=7)の2群に1mg/day/匹の糖鎖不全IgA1を連続5週間腹腔内投与し、以下の検討を行った。1)ELISA法で血中抗ヒンジIgG抗体価測定。2)dip stickによる尿蛋白・潜血の評価、3)腎臓組織の光学顕微鏡・蛍光顕微鏡的観察。蛍光抗体法でIgAの沈着強度を評価した。 血中抗ヒンジ抗体価は免疫群では3回目免疫2週後に上昇ピークを示し、IgA連日投与後から減少、陰性化した。このことから投与された糖鎖不全IgAが血中抗ヒンジ抗体と免疫複合体を形成されたことが示唆された。コントロール群では前回同様全例にIgAのメサンギウム沈着をみたが、免疫群においては4/12(33.3%)がIgA陰性で、予想に反しその沈着強度は有意に減少していた(p<0.007,Mann Whitney's U test)。以上から、この抗ヒンジ抗体が糖鎖不全IgA1の血中からの除去に働き、本モデルでのIgA沈着を抑制する可能性が示唆された。しかし両群ともに明らかな尿異常、組織変化はなく、組織障害惹起には他の更なる機序の関与が推測された。
|
Research Products
(3 results)