2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16590815
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
三井田 孝 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (80260545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 俊幸 自治医科大学, 医学部, 助教授 (50211636)
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Keywords | アルツハイマー型認知症 / 炎症 / リポ蛋白 / 髄液 / HDL / アポE |
Research Abstract |
【目的】今年度は、SAAによる髄液中HDLからのアポ蛋白の解離に濃度依存性があるのか、このアポ蛋白の解離がインキュベーションによりさらに進行するのか検討した。 【方法】実験には、赤血球の混入が認められない細胞数正常の髄液をプールして用いた。髄液にPBSまたはrecombinant SAAを添加した。SAA添加直後と37℃で2時間インキュベーション後にサンプルを採取し、SAAによって髄液中HDLから解離したリポ蛋白を、非変性二次元電気泳動で解析した。アポAIはPreβ1-HDLとして解離するため、Preβ1-HDLをELISAで測定した。 【結果および考察】髄液中のPreβ1-HDL濃度は、SAA添加前が0.041±0.026mg/Lだった。最終濃度で20mg/L,50mg/L,100mg/LのSAAを髄液に添加すると、その直後にPreβ1-HDLは0.067±0.027mg/L(p<0.05),0.280±0.182mg/L(p<0.05),0.646±0.316mg/L(p<0.01)と濃度依存性に増加した。一方、PBSを添加した場合には、Preβ1-HDLの増加は認めなかった。SAAを髄液添加した後にさらに2時間incubationを続けると、Preβ1-HDLはそれぞれ0.237±0.135mg/L(p<0.01),1.331±0.718mg/L(p<0.05),1.421±0.565mg/L(p<0.01)と、SAA添加直後より著明に増加した。Preβ1-HDLの増加は非変性二次元電気泳動でも確認できた。SAA添加によるアポEの解離も、添加するSAAの濃度に依存して増加した。また、SAA添加後にさらに2時間incubationを続けることにより、アポEの解離は添加直後よりも増加した。添加するSAA濃度を、2mg/Lまで低濃度にしたところ、SAA添加直後にはアポEの解離は認められなかった。しかし、37℃でincubationを続けたところ、3時間では解離が認められなかったものの、24時間後には一部のアポEが髄液中HDLから解離した。 【結論】SAAは濃度依存性にアポ蛋白を髄液中HDLから解離させ、これは37℃でincubationすることにより増加する。Alzheimer型認知症では脳内のSAAが増加しているという報告があるため、中枢神経系の慢性炎症が、髄液中HDLからアポEを解離させ、アミロイドβの髄液中からのクリアランスを低下させているのではないかと推定された。
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Research Products
(6 results)