2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16590816
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
池内 健 新潟大学, 脳研究所, 助手 (20372469)
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Keywords | アルツハイマー病 / 転写障害 / アミロイド前駆体タンパク / 神経細胞死 / プレセニリン |
Research Abstract |
アルツハイマー病の病態機序の解析は,βアミロイドからなる老人斑の沈着と,それに引き続く異常リン酸化タウ沈着から神経細胞死が生じるという「アミロイドカスケード仮説」を中心に検討されてきている.本研究課題では,「アミロイドカスケード仮説」とは異なる「γセクレターゼ調節不全による転写障害仮説」を検証することを目的とした. 家族性アルツハイマー病(Familial Alzheimer disease : FAD)の原因遺伝子であるpresenilin 1(PS1)の変異体を安定発現する神経系培養細胞を樹立し,アミロイド前駆体タンパク(Amyloid precursor protein : APP)およびγセクレターゼ基質であるDelta-1における膜貫通領域内の切断で生じるC末端断片の核内移行および,それに引き続いて生じる転写活性について検討した. FAD関連PS1変異体においては,APPおよびDelta-1のC末端断片,AICD(APP intracellular domain), DICD(Delta-1 intracellular domain)の産生レベルは,野生型と比較し低下していた.これらのAICDおよびDICDの細胞内局在は,核分画に認められた.さらに,Gal4-VP16のレポーター配列をDelta-1のDICD内に組み入れ,ルシフェラーゼによるレポーターアッセイを行ったところ,PS1変異体では転写活性の低下を示した. 以上の結果から,PS1変異を原因とするアルツハイマー病においては,γセクレターゼを介した転写活性調節異常が病態に関与している可能性が示唆された.今後の課題として,この転写活性異常のターゲットとなる転写因子の同定が重要であり,その候補としてCREB依存性の転写活性について詳細に解析する必要がある.
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Research Products
(5 results)