2004 Fiscal Year Annual Research Report
痴呆性疾患および老化における大脳情報処理能力に関する神経生理学的研究
Project/Area Number |
16590821
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
寳珠山 稔 名古屋大学, 医学部, 教授 (30270482)
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Keywords | 大脳誘発誘発電位 / 臨床神経生理学 / 感覚運動連関 / 認知 / サブリミナル / ヒト / 時間識別覚 |
Research Abstract |
本研究では「脳活動の衰えとは何か」という本質的な問いに神経生理学的な手法から答えようとした。これまで疾患や老化の把握には、主として画像診断による形態的変化を捉えることが中心であり、脳波や誘発脳波などの臨床神経生理学的手法もそれらの形態的異常に対応する所見を検出することに用いられてきた。しかし、本研究では神経の時間分解能力に注目し、非常に短い時間単位で脳神経活動を解析し、刺激に対する神経細胞そのもの活動性を評価しようとするものである。 このような視点から時間と空間の情報処理能力の測定を各種刺激によって行い、結果を国際学術雑誌報告した。中心的な成果はヒトの時間識別知覚は年齢によって衰え短い時間間隔の情報は識別できなくなるというものである(Hoshiyama et al.Muscl & Nerve)。絶対量である時間についても年齢によって相対的な量的感覚が異なることを示唆するものであり次年度において発展が期待される知見であった。また、これまで定性的、主観的な計測方法しかなかった空間的情報処理能力については、客観的評価手法として事象関連電位を用いた空間識別知覚の計測を行い初めて報告した(Tamura, Hoshiyama et al.2004)。また、聴覚における情報処理(軍司、宝珠山ら、臨床脳波)の他に視覚における情報処理能力についても研究が進められている。次年度に報告の予定である。 研究成果からはこれまでアプローチがほとんどなされてこなかったヒトの情報処理の"能力"についての新知見が明らかになっており、老化や痴呆の極めて早期の脳機能変化を捉える手法として期待される。
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Research Products
(6 results)