2004 Fiscal Year Annual Research Report
タウ蛋白のリン酸化・脱リン酸化酵素複合体を介する痴呆脳神経細胞変性の病態解析
Project/Area Number |
16590827
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
川又 敏男 神戸大学, 医学部, 教授 (70214690)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 潔 神戸大学, 医学系研究科, 教授 (80116251)
小野 功貴 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 教授 (10243297)
向井 秀幸 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (80252758)
高橋 美樹子 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 助手 (90324938)
|
Keywords | 認知症 / アルツハイマー病 / 神経細胞死 / タウ蛋白 / 蛋白リン酸化酵素 / 蛋白脱リン酸化酵素 / 細胞内ジグナル伝達 / 蛋白合成 |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)や前頭側頭型認知症ではタウ蛋白代謝異常が病態背景に存在し、タウ蛋白代謝異常とその下流にある神経細胞死との関連を明らかにする目的でタウの機能調節に関与するリン酸化酵素(PKC・PKNなど)・脱リン酸化酵素(PP2Aなど)と複合体を形成する巨大蛋白分子Centrosomal and Golgi PKN anchoring protein(CG-NAP)の脳内局在を解析した。まず、CG-NAPの種々の部位に対するリコンビナント蛋白を合成、家兎を免疫してラット・マウスなど実験動物のCG-NAPを認識する特異抗体を作製し、高感度免疫組織化学法を用いて実験動物の脳内分布あるいは培養細胞内局在を観察した。その結果、上皮性培養細胞内部ではCG-NAPは主として中心体に分布していたが、脳組織では神経細胞の細胞質をはじめとする細胞体・樹状突起近位部・軸索近位部に微細顆粒状の局在を認めた。免疫反応性はほぼ神経細胞に限局しており、アストロサイトやミクログリアなどのグリア細胞には、ほとんど分布していなかった。これらの結果からCG-NAPは、成体ラット・マウス脳組織内部ではほぼニューロン特異的に分布しており、細胞内部では種々の細胞内輸送に関連している可能性が示された。今後は、リン酸化酵素・脱リン酸化酵素や細胞内輸送関連分子との関係を、また認知症脳組織における病態変化を検討する予定である。 さらに、PKCやPKN等の下流にあり細胞内蛋白合成に関与するp70 S6 kinaseがニューロン細胞質に粗大顆粒状に分布し、AD患者脳組織で老人斑や細胞内タングルなど特徴病理構造に蓄積することを明らかにした。また、受容体型蛋白リン酸化酵素やスフィンゴ脂質合成関連酵素の遣伝子異常が示唆される認知症患者脳で広汎な神経細胞死とそれに先行するグリア細胞の炎症性活性化を明らかにした。
|
Research Products
(1 results)