2004 Fiscal Year Annual Research Report
HAMにおけるTh1サイトカイン発現に関与するシグナル伝達系の解明
Project/Area Number |
16590834
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中村 龍文 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (00198219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江口 勝美 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30128160)
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Keywords | HAM / HTLV-I / Th1 / p38 MAPK / IFN-γ / HTLV-I p19 |
Research Abstract |
HTlV-I関連脊髄症(HAM)におけるTh1サイトカイン(IFN-γ)およびHTLV-I発現に関与するシグナル伝達系を解明するために以下の解析を行なった。 HTLV-I感染T細胞株における検討 1)細胞株:HAM患者髄液由来HCT-1およびHCT-4を使用し,ATL患者末梢血由来の3つの株を対照とした。2)IFN-γおよびHTLV-I産生能:上記細胞株における培養上清中のIFN-γおよびHTLV-I p19抗原をELISA法にて測定した結果,ATL患者由来の細胞株に比較して,HCT-1およびHCT-4では明らかにその産生能が亢進していた。3)ウエスタンブロット解析:上記細胞株においてp38 MAPKのウエスタンブロット解析を施行した結果,HCT-1およびHCT-4では活性化p38 MAPK(リン酸化p38 MAPK)の発現が亢進していた。4)p38 MAPK阻害剤SB203580による抑制実験:HCT-1およびHCT-4をSB203580存在下に培養し,培養上清中でのELISA法による検討においてIFN-γ産生抑制を解析した結果,両者の細胞株では細胞傷害性を起こすことなく,SB203580濃度依存性に約50%抑制された。HTLV-I発現についてもHTLV-I p19抗原でみた場合,HCT-1では約22%,HCT-4では約10%抑制された。 培養HAM患者末梢血CD4陽性T細胞におけるSB203580処理による抑制実験:1)IFN-γ産生能:6例のHAM患者全例で,培養上清のELISA法による検討においてIFN-γ産生は約24-79%抑制されたにもかかわらず,7例の対照患者(HTLV-Iキャリアー3例を含む)ではその抑制は明らかでなかった。2)HTLV-I産生能:6例のHAM患者全例で,培養上清中のELISA法による検討においてHTLV-I p19抗原の産生は24-66%抑制された。 以上の結果より,HAM患者におけるTh1サイトカインであるIFN-γの発現亢進にはp38 MAPKシグナリングが重要な役割を果たしていると共に,HTLV-I発現にもp38 MAPKシグナリングは大きく寄与していることが明らかにされた。現在,p38 MAPKの上流域を解析中であるが,IL-2シグナリングの亢進がその基盤となっている可能性が明らかにされつつある。
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