2005 Fiscal Year Annual Research Report
HAMにおけるTh1サイトカイン発現に関与するシグナル伝達系の解明
Project/Area Number |
16590834
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中村 龍文 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (00198219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江口 勝美 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30128160)
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Keywords | HAM / HTLV-I / Th1 / p38 MAPK / IFN-γ / IL-2 |
Research Abstract |
申請者らは昨年度,HT1V-I関連脊髄症(HAM)におけるTh1(IFN-γ)およびHTLV-I発現にはp38 MAPKシグナリングの活性化が重要な役割を果たしていることを明らかにした。今年度は,p38 MAPKの最上流域に位置するIL-2シグナリングとIFN-γおよびHTLV-1発現との関係を,培養上清中のIFN-γおよびHTLV-Ip19抗原濃度をELISA法によって測定し,解析した。 (A)HAM患者由来HTLV-I感染T細胞株における検討:1)IL-2の効果:細胞株をIL-2存在下またはIL-2非存在下に培養し比較検討した結果,IFN-γ発現は明らかにIL-2依存性であった。しかし,HTLV-I p19抗原発現についてはIL-2依存性は軽度であった。2)Jak3阻害剤による抑制実験:細胞株をAG490存在下に培養し,IFN-γ/HTLV-Ip19抗原発現抑制を解析した結巣,両者とも抑制効果は得られなかった。3)抗IL-2レセプター阻害抗体による抑制実験:細胞株を抗IL-2Rα,β,γ抗体のそれぞれの存在下で培養した場合,IFN-γ/HTLV-Ip19抗原発現抑制効果は抗IL-2Rα抗体存在下の培養でのみ得られた。(B)培養HAM患者末梢血CD4陽性T細胞における抑制実験:1)Jak3阻害剤による抑制実験:9例のHAM患者における検討で有意なIFN-γ/HTLV-Ip19抗原発現抑制効果は得られなかった。2)抗IL-2レセプター・阻害坑体による抑制実験:12例のHAM患者における検討でIFN-γ/HTLV-Ip19抗原発現について抗IL-2Rα坑体存在下の培養で有意な抑制効果が得られた。また,IFN-γ発現については抗IL-2Rβおよびγ抗体存在下でも軽度ではあるが抑制効果が得られた。 以上の結果より,p38 MAPKの上流に位置するIL-2シグナリングはHAM患者におけるIFN-γおよびHTLV-1の発現に関与していることが明らかにされた。しかし,IL-2レセプターのすぐ下流に存在する,Jak3阻害剤では両者の発現に対する抑制効果が得られなかったという事実はIL-2レセプターからp38 MAPKに至る過程には別のシグナルの関与も考えられた。いずれにせよ,IL-2シグナリングはHAMにおける治療戦略の標的になる可能性を持っていると考えられた。
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Research Products
(2 results)