2005 Fiscal Year Annual Research Report
眼咽頭筋ジストロフィーの病態解明・治療開発-細胞・動物モデルを用いて
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16590835
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宇山 英一郎 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (90185075)
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Keywords | 眼咽頭筋ジストロフィー / PABPN1核内凝集体 / GCGリピート / ポリアラニン / 縁取り空胞 / 嚥下障害 / OPMDモデルマウス / DMRV |
Research Abstract |
本年度は、眼咽頭筋ジストロフィー(OPMD)の発症機序・病態の解明のため、本症の罹患筋線維内に出現し、筋病理の特徴的な所見の1つである縁取り空胞rimmed vacuole(RV)にフォーカスをあて、類縁筋疾患である"RVを伴う遠位型ミオパチー(DMRV)"のヒト凍結筋切片を用いて免疫組織学的に比較検討した。対象は(GCG)9,(GCG)11のOPMD患者3家系5例、GNE遺伝子のV572L/V572L変異のDMRV4家系5例、G295D/A631V変異のDMRV1家系3例、筋強直性ジストロフィー3例、Emery-Dreifuss型筋ジストロフィー2例。RVの形成過程には糖鎖の修飾を受ける膜タンパク質に着目し、αジストログリカン(DG)の免染とWestern-blotを試みた。すると当初は、抗体の種類によってはDMRVではαDGの染色性に異常を認めた。OPMDをはじめ、DMRV以外では有意な変化は認めなかった。次にレクチンPNA、WGA、SBA、DSA、RCA_<120>、MAAの各抗体を用いて免染を行ったところ、Galβ1-3GalNAcを特異的に認識するPNAでは、DMRV全例で筋細胞膜が強陽性を示した。OPMDを含む他の筋疾患や正常対照では全く染色性がみられなかった。また、RVはSBA抗体で強陽性を示した。さらに、シアル酸のL型とO型のどちらの糖鎖修飾の異常でこれらの変化が生じるのかをHPLCで定量したところ、O型の修飾を受ける分画がDMRVでのみ低下し、PNA非結合分画のαDGがDMRVでは減少していることが確認された。以上より、OPMDとDMRVはRVをともに特徴とするが、DMRVではO型の糖鎖異常をきたし、OPMDではその異常はきたしていないことが明らかにした。また、昨年度に世界初のOPMDモデルマウスを作製し報告したが、生後1カ月で約半数が死亡した原因が解剖でも不明のままであった。そこで今回、代謝ケージを用いてOPMDモデルマウス5匹、野生マウス5匹の24時間絶飲食後の水・餌摂取量を比較定量した。その結果、OPMDモデルマウスでは、摂取量が明らかに減少していた。これはヒトと同様に嚥下障害に起因すると推定された。
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Research Products
(3 results)