2004 Fiscal Year Annual Research Report
痴呆性神経変性疾患におけるタウ・アイソフォーム発現調節機構の検討
Project/Area Number |
16590841
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
詫間 浩 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (00326258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 啓 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10159189)
富山 貴美 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (10305633)
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Keywords | アミロイド蛋白 / 細胞死 / アポトーシス / カスパーゼ3 / TUNEL / 細胞毒性 |
Research Abstract |
アルツハイマー病の原因分子であるアミロイド蛋白の病理作用として神経細胞死が議論されている。この神経変性症における細胞脱落にアポトーシスが関与する可能性を検討する目的で、我々は、in vitroとin vivoの両実験系において、アミロイド蛋白の細胞毒性による細胞死を比較検討した。in vitroとしてマウス胎児脳から調製した神経細胞の初代培養実験系を用い、一方in vivoとして麻酔処理したマウス脳海馬へのアミロイド蛋白の微量注入を施行した。まず、従来の報告に従い、毒性活性のあるアミロイド蛋白は、事前に重合促進させることによって毒性を獲得させた。これはチオフラビン結合によって線維化反応が生じていることが示唆された。in vitroでは、毒性活性アミロイド蛋白の添加によりTUNEL染色陽性細胞を確認できた。しかもこの細胞死は、絶対数の低下をもしめすことから、細胞毒性死が生じていることが示された。さらにこのアポトーシスは、カスパーゼ3を経由することがカスパーゼ3ノックアウトマウス由来の神経細胞では細胞死が生じないことで結論された。次に、in vivo脳での反応性を確認した。主としてCA1領域にある神経細胞の脱落が生じていることがクレシルバイオレット色素染色によって観察されたが、TUNEL染色によって残存する神経細胞にも多くのアポトーシス陽性反応を観察することができた。一方カスパーゼ3ノックアウトマウスでは、アポトーシス陽性神経細胞数が優位に低下することが示された。アミロイド蛋白による細胞死は、注入後の時間経過で変化することであり、in vivoでの経過は、in vitroでの3日前後での結果と異なり、さらに1週間遅れて細胞死が生じることを見出した点であり、in vivoでの生体反応性の特異性が示唆された点は、本研究でもっとも重要な観察である。
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Research Products
(1 results)