2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16590855
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
西村 裕之 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (20248131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 知弘 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10219529)
芳川 浩男 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (90273680)
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Keywords | 脳虚血 / 血管再生 / 神経再生 / 血管内皮前駆細胞 / 神経機能 / CD34 |
Research Abstract |
我々は再現性がよく、かつ3ヶ月以上生存するマウス脳梗塞モデルを開発し、血管内皮前駆細胞(EPC)移植の脳梗塞に及ぼす影響を検討した。脳虚血は、免疫不全マウスの側頭部を開頭し、中大脳動脈水平部遠位部を直達的に電気焼灼することにより閉塞切断し作成した。脳血流をドップラー法で測定し、虚血作成24時間後に前値の75%以下に減少した動物を実験に使用した(これにより全例脳梗塞を作成できることを確認している)。EPCとして、CD34 progenitor cell isolation kitを用いて収集したヒト臍帯血由来CD34^+細胞を使用した。脳梗塞作成48時間後、5x10^5のCD34^+細胞を尾静脈より注入した。対照群として、CD34^-細胞注入群およびPBSのみ注入した群を作成した。CD34^+細胞移植により、2日後には梗塞周辺部において有意な血管新生がみられた。脳梗塞容積は2週間後から有意に減少し、3ヶ月まで維持された。免疫組織化学的検討では、梗塞周辺部においてTUNEL陽性細胞数は有意に抑制され、神経細胞が多数残存していた。その一部はBrdUとの二重染色で陽性であり、幼若神経細胞のマーカーであるMusashi-1で染色されることから、再生された神経細胞であることが明らかになった。しかし対照群ではこれらはみられなかった。さらにこれらの再生した神経の機能を検討したが、CD34^+細胞移植により神経障害のスコアーが有意に改善し、神経機能が回復したことが明らかになった。一方、これらのCD34^+細胞移植効果は、血管再生抑制因子であるendostatinを前投与することにより対照群レベルにまで復したことから、CD34^+細胞移植による血管新生が脳局所循環を改善し、直接的にもしくは間接的に神経再生を促進したと考えられる。以上の検討により、EPC移植が脳梗塞治療法となる可能性が示された。
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