2005 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変動物を用いたポリオール代謝亢進特異的糖尿病合併症発症機序の解明
Project/Area Number |
16590861
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
和田 龍一 弘前大学, 医学部, 助教授 (20260408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木橋 操六 弘前大学, 医学部, 教授 (40111231)
水上 浩哉 弘前大学, 医学部, 助手 (00374819)
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Keywords | 糖尿病 / 合併症 / 神経障害 / ポリオール代謝 / アルドース還元酵素 / トランスジェニックマウス / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
ポリオール代謝の亢進に基づく糖尿病神経障害発症機構の解明をより特異的に行うことを目的として、ポリオール代謝の律速酵素であるアルドース還元酵素(AR)を高発現するトランスジェニックマウス(Tg)およびARノックアウトマウス(Ko)を用い、研究を行った。ストレプトトゾトシン誘発糖尿病Tgの末梢神経を用いた実験からは、高血糖により惹起されるポリオール代謝の亢進と連動して生じる神経PKC活性低下が、糖尿病神経障害の発症、進展に働いていることを明らかにした。さらに、AR阻害薬(ARI)投与は、同程度の高血糖にもかかわらず、神経PKC活性異常の是正とともに、神経機能(運動神経伝導速度)の改善に働くことも示された。また、ストレプトトゾトシン誘発糖尿病Tgの後根神経節を用いた検討では、末梢神経と同様に知覚神経系でもポリオール代謝の亢進がPKC活性化をもたらし、神経機能異常(感覚神経伝導速度の低下)に働くことが判明した。一方、ストレプトトゾトシン誘発糖尿病Koを用いた検討からは、高血糖状態でもKoでは、神経内ソルビトール、フルクトース蓄積量が正常対照以下に抑えられ、対照糖尿病マウスにみられた神経伝導速度の低下、有髄神経線維の萎縮が有意に抑制されることを明らかにした。しかしながら、高度の高血糖状態では、糖尿病Koと対照糖尿病マウスとの間に差が無くなることも判明した。このことから、糖尿病性神経障害の発症、進展予防には、ARI投与ばかりでなく、血糖コントロールが重要であると考えられた。また、糖尿病神経障害は単一の機序のみで全てが説明されるものではないこともあきらかとなった。今後は、糖尿病神経障害の発症機構について解析を進めると共に、糖尿病網膜症、糖尿病腎症とポリオール代謝の関係についても、遺伝子改変動物を用いて検討する予定である。
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