2004 Fiscal Year Annual Research Report
血管壁におけるKlotho蛋白の作用機序の解明と新たな血管保護因子同定の試み
Project/Area Number |
16590866
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
大山 良雄 群馬大学, 医学部, 助手 (70334117)
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Keywords | Klotho蛋白 / 動脈硬化 / 血管内皮機能 / 腎尿細管 / 分子生物学 |
Research Abstract |
研究課題「血管壁におけるKlotho蛋白の作用機序の解明と新たな血管保護因子同定の試み」 平成16年度の研究目的は、「Klotho蛋白の血管内皮保護作用の機序(血管壁におけるKlotho蛋白の作用機序)」を解明することである。1、Klothoが細胞内情報伝達系に及ぼす影響を検討する。我々は、培養血管内皮細胞において、Klotho蛋白を過剰発現することによりANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)刺激によるcGMP産生が増加すること、また、培養血管平滑筋細胞においても、Klotho蛋白の過剰発現によりCNP(C型ナトリウム利尿ペプチド)刺激によるcGMP産生が増加することを見い出したが、このKlotho蛋白によるcGMPの産生増加作用は、プロテインキナーゼC(PKC)を阻害することによって抑制された。2、Klothoがレニンーアンジオテンシン系に及ぼす影響を検討する。我々は、培養血管平滑筋細胞において、Klotho蛋白を過剰発現することによりアンジオテンシンII(Ang II)刺激による細胞増殖作用が促進されることを見い出した。このKlotho蛋白による細胞増殖の促進作用は、PKCまたはcAMP-dependent protein kinase A(PKA)を阻害することによって抑制された。3マウス型klotho cDNAを過剰発現するラットにおいて血管内皮機能を検討する。klotho遺伝子過剰発現ラットにおける血圧、NO(一酸化窒素)産生量、血管内皮依存性弛緩反応を検討したが、コントロールラットと有意差を認めなかった。以上、本年度の実験結果より、Klotho蛋白はPKCおよびPKAを活性化することにより、多彩な作用を発揮している可能性が示唆された。
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