2005 Fiscal Year Annual Research Report
血管壁細胞および骨髄幹細胞のTGFβシグナルを標的とした新規動脈硬化治療法の開発
Project/Area Number |
16590868
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
横手 幸太郎 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (20312944)
|
Keywords | TGF-β / Smad / 動脈硬化 / 細胞内シグナル伝達 / マトリクス / 骨髄移植 / 平滑筋細胞 / マクロファージ |
Research Abstract |
多機能サイトカインTGF-βは、粥状動脈硬化病変には抑制的、再狭窄病変に対しては促進的に働くことが示唆されている。しかし、TGF-β下流の各シグナル分子が動脈硬化形成に及ぼす影響は不明のため、我々はTGF-βの主要シグナル分子Smad3のノックアウトマウス(KO)を用いて検討を行った。C57BL/6バックグラウンドのKOおよび野生型マウス(WT)の大腿動脈に内皮傷害を加えたところ、傷害後1〜3週において、KOの大腿動脈ではWTに比べ、平滑筋細胞(SMC)増生による著しい内膜肥厚病変を認めた。KOではWTに比べて、内膜SMCの増殖が亢進し、逆にコラーゲン線維の沈着が減少していた。近年、骨髄に由来するSMC様細胞の動脈硬化病変への寄与が指摘されていることから、WT・KO相互で骨髄細胞の移植を行ったが、内膜肥厚の程度には変化を及ぼさず、KOにおける内膜肥厚の増強は、in situの血管SMCの性質に由来すると考えられた。次に大動脈SMCを単離し、その生物学的機能を解析したところ、TGF-βはWT細胞の増殖活性を抑制したが、KO細胞ではその効果が著しく減弱していた。またTGF-βによるマトリクス沈着作用もKO細胞では減弱していた。TGF-βによる遊走活性は両細胞に差異を認めなかった。以上の結果から、KOではSMCがTGF-βによる細胞抑制に抵抗性を示すと共に、マトリクス量の減少により中膜から内膜への遊走が促進される結果、著しい内膜肥厚をたらすと考えられた。これに対して高脂血症をきたすSmad3/ApoEダブルKOマウスは、対照のApoEKOマウスに比べマクロファージに富む粥状硬化病変の増強を示した。Smad3KOマクロファージはTGF-βの細胞増殖抑制やMCP-1発現抑制効果に抵抗性であった。以上の結果から内因性Smad3分子はTGF-βの下流にあり動脈硬化抑制性に働く性質をもつと推察された。
|
Research Products
(7 results)