2005 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子ノックアウトマウスを用いた骨代謝における線溶系因子の分子基盤の解析
Project/Area Number |
16590873
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
小澤 修 岐阜大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90225417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石崎 明 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (20356439)
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Keywords | 線溶系因子 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / 骨代謝 / 遺伝子欠損マウス |
Research Abstract |
骨粗鬆症は高齢化杜会を迎えた我が国において医学的にまた社会的に大きな問題となっている。しかし、骨粗鬆症の成因および病態の詳細は未だ明らかではなく、その解明は急務となっている。骨代謝は骨形成を担う骨芽細胞と骨吸収を担う破骨細胞によって、そのバランスが保たれている。しかし、これまでに線溶系因子の活性の変化により、骨芽細胞や破骨細胞の機能がどのように影響されるかを明かとした報告はなく、線溶系がどのようなメカニズムで骨代謝を調節するかについて判然としていない。 今回私共は、線溶系各因子の遺伝子ノックアウトマウスを利用して、線溶系の活性化の程度による骨密度の変化および骨芽細胞・破骨細胞の増殖・分化能力の変化を検討した。骨粗鬆症モデルである卵巣除去ovariectomy(OVX)による大腿骨海綿骨密度低下について、各線溶系遺伝子ノックアウトマウスを用いて観察し、それぞれの結果を比較解析した。その結果、プラスミノーゲンノックアウトマウスと野生型マウスではOVXによる明らかな大腿骨海綿骨密度の低下が認められたが、α2-アンチフラスミンノックアウトマウスでは同様な結果は認められなかった。また、プラスミノーゲンノックアウトマウスの大腿骨海綿骨密度はOVX処理と未処理に関わらず、野生型マウスよりも明らかに低い値を示すことが明らかとなった。 以上の結果から、線溶系因子の活性化の程度が高い場合には、大腿骨海綿骨密度を高くし、また、低い場合には大腿骨海綿骨密度を低くする機構が作用することが明らかとなった。一方、プラスミノーゲンノックアウトマウスの脛骨から採取した骨髄細胞の破骨細胞分化能力と骨破壊能力は野生型マウスのそれらよりも高く、一方、α2-アンチプラスミンノックアウトマウスの脛骨から採取した骨髄細胞の破骨細胞分化能力と骨破壊能力は野生型マウスのそれらよりも低いことが判明した。これらの結果から、線溶系の活性の変化による大腿骨海綿骨密度の変化は、破骨細胞の分化や骨破壊能力の違いによるものであることが示唆された。
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Research Products
(5 results)