2004 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病の新たな治療法の開発に向けた遺伝子導入による膵ベータ細胞の再生
Project/Area Number |
16590881
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田代 文 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40136213)
|
Keywords | pdx1遺伝子 / IGF1遺伝子 / 膵管 / 発生分化 / インスリン産生細胞 |
Research Abstract |
この研究課題の目的は、生体内の細胞を分化転換もしくは再分化させることにより、インスリン産生細胞を再生させ、糖尿病の再生医療を行うことにある。我々はpdx-1遺伝子を経総胆管的に膵管に導入することにより、膵臓内にベータ細胞を再生させることに成功しているが、いまだ糖尿病状態を改善するには至っていない(Gene Ther 10:15,2003)。 本年度研究では、さらに再生の効率を上げる目的で、種々の分化誘導因子遺伝子、増殖促進因子遺伝子を導入し、スクリーニングを行い、臨床応用にむけた検討を行った。Pdx1遺伝子導入により膵間質の増生および膵管様構造の増加と膵実質内に数個単位のインスリン陽性細胞が認められた。我々はIGF-1遺伝子が膵発生に関与すること、またIGF-1のsignal伝達機構がaktを介することなどから、IGF-1に着目し肝臓からcDNAを単離しアデノウイルスベクターに組み込み、pdx-1遺伝子とともに経総胆管的に膵管に導入した。その結果、著明な間質様構造の増加とインスリン陽性細胞数の増加を認めた。同時に、pdx1遺伝子単独では認められなかった膵管からのbudding像やインスリン、グルカゴンの共染色細胞などを認めた。この事実からこれらの再生細胞が膵ベータ細胞の発生機構に類似して生じた可能性があることやまた再生細胞は完全に分化したものばかりではないことが示唆された。これらの結果を元に次年度は新規再生細胞の長期観察などを行い、同時にさらに多くの遺伝子導入により高効率の再生方法を検討する予定である。
|
Research Products
(2 results)