2005 Fiscal Year Annual Research Report
細胞周期制御機構をターゲットとした新たな肥満・糖尿病治療の基盤確立とその応用
Project/Area Number |
16590885
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
阪上 浩 神戸大学, 大学院医学系研究科, 助手 (60372645)
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Keywords | 脂肪細胞 / アディポサイトカイン / 細胞分化 / 細胞増殖 / KLF15 / p27^<Kip1> / Skp2 |
Research Abstract |
1.p27^<Kip1>の肥満形成における役割 サイクリン依存性キナーゼインヒビターであるp27^<Kip1>を欠失させたマウスでは、対照マウスに比べ脂肪細胞数の増加と高脂肪食による肥満誘導が顕著となり、インスリン抵抗性が増悪することを明らかとした。脂肪細胞の過剰増殖した高脂肪食負荷p27^<Kip1>欠損マウスでは、肝臓における糖新生系酵素の発現誘導が確認されており、脂肪細胞の増殖による肥満が肝臓の糖代謝制御機構を破綻させ、インスリン抵抗性を発症させると考えられた。 2.Skp2の肥満形成における役割 p27^<Kip1>の発現を蛋白レベルで抑制するユビキチンリガーゼSkp2の欠損マウスでは、脂肪細胞数の減少がエネルギー過剰状態での生体の糖代謝悪化や肥満形成に抑制的に作用することを明らかとした。さらには、Skp2が膵β細胞の増殖において、細胞周期制御分子の発現を制御する必須の分子であることを明らかとした。 3.肥満形成における脂肪細胞増殖と治療ターゲットとしての意義 肥満形成過程において、脂肪細胞増殖が活発に活性化されていることを明らかとした。さらには、この脂肪細胞増殖を細胞周期阻害剤で抑制することで、肥満の増悪抑制や糖代謝悪化に抑制的に働くことを明らかとし、細胞周期阻害剤の新たな抗肥満・抗糖尿病薬としての可能性を見出した(特許出願済み)。 4.脂肪分化に関与する新規転写因子の同定 脂肪分化過程で促進的に働く新規な転写因子Kruppel-like factor 15(KLF15)を見出し、脂肪細胞分化機構における役割を明らかとした。さらに転写因子C/EBPβ活性化機構におけるMAPキナーゼの役割を明らかとした。
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Research Products
(7 results)