2005 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病およびインスリン抵抗性が肝パラオキソナーゼ合成に及ぼす影響
Project/Area Number |
16590887
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
池田 幸雄 高知大学, 医学部, 助手 (60281185)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末廣 正 高知大学, 医学部, 助教授 (70136381)
公文 義雄 高知大学, 医学部, 助教授 (40215033)
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Keywords | パラオキソナーゼ / PON1 / 糖尿病 / インスリン抵抗性 / サンドラット |
Research Abstract |
本計画の遂行にあたり,平成17年度に得られた研究成果は以下の通りです. 1.高濃度グルコースおよびインスリン抵抗性がパラオキソナーゼ(PON1)発現に及ぼす影響 培養肝癌細胞Huh7において,グルコースがPON1 mRNA発現を増加させることをRT-PCRにより証明した.ヒト正常肝細胞においてもグルコースはPON1発現を増加させたが,Huh7でみられたほど顕著ではなかった.インスリンはPON1発現に影響しなかった. 2.2型糖尿病モデル動物における肝PON1合成の変化 自然発症2型糖尿病のモデルであるPsammomys obesus(sand rat)には,通常の食餌(3.0cal/g)で容易に糖尿病を発症するdiabetes-prone(DP)系と発症しないdiabetes-resistant(DR)系が存在する.糖尿病状態にあるDP系ラット(高血糖・高インスリン血症)では,DR系ラット(正常血糖・正常インスリン血症)に比べ,肝におけるPON1発現量が有意に増加していたが,DP系であっても食餌エネルギー制限(2.4cal/g)により正常血糖・高インスリン血症に維持したラットではDR系と差がみられなかった. 3.総括および研究成果発表 糖尿病状態では,肝におけるPON1発現が増加する.その機序として,持続的高血糖によるプロテインキナーゼCの活性化とそれによる転写因子Sp1の活性化が関与していると考えられた.糖尿病患者において血中PON1酵素活性の低下が報告されているが,今回の結果より,この低下は肝における本酵素合成低下に起因するものではなく,グリケーションなど末梢における修飾によるものと推察された. これらの成果を第6回International Diabetes Federation Western Pacific Region Congress(バンコク)において発表した.現在,論文作成中である.
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Research Products
(3 results)