2005 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎症における糸球体足細胞スリット膜構造分子の極性制御に関する研究
Project/Area Number |
16590892
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
木原 実 横浜市立大学, 医学部医学研究科, 準教授 (60177904)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅村 敏 横浜市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00128589)
戸谷 義幸 横浜市立大学, 附属病院, 準教授 (30237143)
|
Keywords | 糖尿病 / 腎症 / レニン・アンジオテンシン系 / ネフリン |
Research Abstract |
本年度はdb/dbマウスにおける研究を特に推進した。db/+とdb/db(6ヶ月齢オス)を用い、アンジオテンシン受容体拮抗薬TCV-116(10mg/kg/d)を3ヶ月齢から6ヶ月齢まで飲水にて投与した。通常のHEおよびPAS染色にて評価したところ、db/dbマウスでは糖尿病性腎症の病変が見られたのに対し、相当する糸球体病変はTCV投与群で著明に改善していた。また、desmin免疫組織化学染色を行ったところ、db/dbで見られる染色性の増強はTCV投与で明らかに改善がみられた。足細胞スリット膜蛋白であるnephrinおよびpodocinを腎皮質で検討したところ、db/dbマウスでは著明に発現が増強していたが、TCV投与によりその程度が減弱した。nephrinについては免疫染色にて形態学的にも確認したところ、db/dbで見られる染色性の増強はTCV投与で改善がみられた。nephrinのプロモーターとして機能しているWT1 mRNAの腎皮質での発現はnephrinと同様にdb/dbで発現が増強しており、TCV投与で減少した。WT1とnephrin発現の並行する動態は両者の機能的関連性を示唆しており、現在、WT1のプロモーターとしての機能をさらに検討中である。また、nephrinの発現増強については、db/db6ヶ月齢では糸球体病変があるものの、足細胞は代償期にあるためnephrin発現が増強し、1年齢ではそれが破綻して足細胞自体が減少し、nephrin発現自体もそれに伴って減少してくることが考えられた。他のモデルであるNSYマウスについても検討中であり、これらの変化がモデル特異的な変化なのか糖尿病性腎症に普遍性を持つ変化なのかをさらに検討する予定である。極性蛋白の1つと考えられているPAR6 mRNAの発現もdb/dbの腎皮質において発現増強しており、TCV投与で改善した。ただし、極性蛋白制御分子であるatypical PKCやASIPについては発現の変化がみられておらず、異常のみられたスリット膜および極性因子との関連性を病期の違いごとにさらに検討する予定である。
|
Research Products
(2 results)