2004 Fiscal Year Annual Research Report
下垂体腫瘍の遺伝子治療を可能にする組換えアデノウイルスベクターの開発
Project/Area Number |
16590915
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
関 敏郎 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (50307493)
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Keywords | 遺伝子治療 / アデノウイルスベクター / 下垂体腫瘍 |
Research Abstract |
下垂体腫瘍に対する従来の治療法には限界がある。これを克服する手段として遺伝子治療が期待されるが、その実現には下垂体腫瘍に特異的かつ効率良く癌抑制・殺傷遺伝子を導入できるベクターの開発が急務であり、このことが本研究の目的である。 1 三重改変型アデノウイルス(Ad)ベクターの作製・精製 我々は既に以下の重要な技術を確立していた。すなわち、非標的正常細胞への遺伝子導入を抑制する目的でAdのFiber shaftを人工的に延長する、標的腫瘍細胞への高い遺伝子導入効率を達成する目的で腫瘍に豊富に発現する受容体や表面抗原に結合できるリガンドをAdのFiber knobに挿入する、導入遺伝子を腫瘍特異的に発現させるために腫瘍で活性の高いプロモーター(TSP)を組み込む、などの技術である。本年度我々は、これらの技術を利用し、Fiber shaftを延長し、下垂体腫瘍で受容体の発現が亢進しているソマトスタチン分子をHIループへ挿入し、さらにTSPとしてVEGFプロモーターを導入した三重改変型Adベクターの作製・精製に成功した。 2 培養細胞における遺伝子導入・発現効率の検討 本三重改変型Adベクターを用いた遺伝子導入量は、wild typeのAd5に比較して、Adが細胞内に侵入するのに必要なCoxsackie adenovirus receptor (CAR)を発現する正常モデル細胞においては1/10に激減し、反対に、CARを発現せずソマトスタチン受容体を過剰に発現する下垂体腫瘍モデル細胞においては著明に3倍程度増加した。これらの結果から、三重改変型Adベクターは非標的正常細胞への副作用を軽減し、かつ下垂体腫瘍細胞への遺伝子導入効率を増強する有望なベクターであることがvitroで示された。
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