2006 Fiscal Year Annual Research Report
下垂体腫瘍の遺伝子治療を可能にする組換えアデノウイルスベクターの開発
Project/Area Number |
16590915
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
関 敏郎 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (50307493)
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Keywords | 遺伝子治療 / アデノウイルスベクター / 下垂体腫瘍 |
Research Abstract |
効率的で安全な遺伝子治療の実現には、遺伝子を標的細胞に特異的に導入し、かつ高い効率で発現するシステムを開発する必要がある。そのためには、細胞targetingにおける改良が特に重要である。本研究においては、transductional targeting(標的細胞に特異的に遺伝子を導入すること)とtranscriptional targeting(標的細胞に特異的に導入遺伝子を発現させること)の両者に改良を加えたアデノウイルスを作成し、その遺伝子導入効率を検討した。 Transductional targetingにより、非標的細胞への遺伝子導入が抑制され生殖細胞を含めた正常臓器への副作用の軽減につながる。また、標的細胞への遺伝子導入が増強され治療効果が向上する。本研究においては、アデノウイルスのfiber shaftを延長すると、非標的細胞および非標的臓器(肝臓など)への遺伝子導入量が著明に抑制されることを証明した。さらに、腫瘍で発現が亢進しているレセプターなどをターゲットとし、そのリガンドのアミノ酸配列をアデノウイルスのfiber knobのHI loopに挿入すると、標的細胞である下垂体腫瘍や下垂体近傍腫瘍で予後の悪い頭蓋咽頭腫のモデル細胞への遺伝子導入量が著明に増強することを証明した。 Transcriptional targetingにおいては、腫瘍全般で活性の高いtissue specificpromoter(TSP)の一つであるVEGF promoterを導入遺伝子の上流に組み込むと、標的細胞(上記モデル細胞)のみで導入遺伝子の発現が可能になることを証明した。
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