2005 Fiscal Year Annual Research Report
発生工学的に作成したヒト型エストロゲン代謝異常マウスの内分泌学的解析
Project/Area Number |
16590916
|
Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
原田 信広 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (00189705)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 伸一郎 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (40257639)
佐々木 恵美 藤田保健衛生大学, 医学部, 助手 (20178635)
|
Keywords | トランスジェニックマウス / ノックアウトマウス / エストロゲン / アロマターゼ / ステロイドサルファターゼ / エストロゲン硫酸抱合化酵素 / Cyp1B1 |
Research Abstract |
今回の研究でエストロゲン関連酵素群のアロマターゼ(AR)、ステロイドサルファターゼ(STS)、エストロゲン硫酸転移酵素(EST)、17β-水酸化ステロイド脱水素酵素1型及び2型の遺伝子をマウスに導入することにより、これらのエストロゲン関連酵素群を定常的に過剰発現するトランスジェニック(TG)マウスの作成に成功した。これらのTGマウスについて個体・臓器・組織レベルでの病理組織学的異常の有無、組織・細胞内エストロゲン代謝動態、組織・細胞の形態・機能、発現制御系の相互作用と発現量の変動を解析した。ARやSTSのTGマウスではエストロゲン依存性癌が見出された。エストロゲンの代謝的活性化によるDNA変異の導入にはCyp1B1が関与していると考えられる。実際に、Cyp1B1を過剰発現するTGマウスはエストロゲン依存性癌が高頻度で発生させた。そこで現在、ARとCyp1B1の共導入したTGマウスを作成して、発癌感受性を観察する実験を始めている。またESTのTGマウスでは、ARノックアウトマウスの場合と同様に組織内の活性型エストロゲンレベルが低下した事によるとみられる食欲の亢進・肥満が観察された。ARノックアウトマウスで観察された性行動、母性行動、攻撃性行動の異常、探索行動低下や幼仔殺の出現、食欲の亢進・肥満などの病態について、ヒト脳特異的プロモーター下で制御されるヒト・ARを遺伝子導入すると、末梢血レベルでのエストロゲンレベルは変化しないにも拘わらず、これらの異常な病態は全て綺麗に野生型のレベルまで回復した。この事は脳特異的ARの発現制御(神経細胞特異的、視床下部・視索前野・扁桃体特異的、そして誕生前後に一過性ピークを持った発現)そして脳内局所性のエストロゲンが、これらの表現型の発現に重要な役割を担っていることを示している。
|
Research Products
(6 results)