2005 Fiscal Year Annual Research Report
単一細胞移植法を用いた造血幹細胞から膵内分泌細胞への分化の検討
Project/Area Number |
16590935
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
桝屋 正浩 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (30281083)
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Keywords | 造血幹細胞 / 単一細胞移植 / 四塩化炭素 / 肝星細胞 |
Research Abstract |
研究代表者はEGFP mouseからソートした単一のlineage negative (Lin-) Sca-1+ c-kit+ CD34- cellを移植したマウスの検討から、腎臓のglomerular mesangial cellsや脳梗塞巣内のmicroglial cells、perivascular pericyte-like cellsが造血幹細胞(HSC)に由来することを報告してきた。膵臓の内分泌細胞と肝細胞は共に肝臓のoval cellに由来するとの報告があり、また、oval cellはその表面形質解析からHSCとの関連が示唆されていることより膵臓の内分泌細胞がHSC由来であるという仮説を立てた。これを検証するためにまず四塩化炭素による肝傷害モデル(single cell transplantationしたマウスに移植2ヶ月後から週2回三ヶ月にわたって四塩化炭素を腹腔内に投与)を作成してoval cellの検出を試みた。傷害肝内にEGFP陽性細胞を多数検出したが、これらのほとんどは肝類洞内に存在し、目的とするoval cellではなかった。血液還流後に肝臓を取り出し、(1)比重遠心法にて得た細胞を培養すると共に、(2)凍結組織標本を作製し、各種抗体を用いた免疫蛍光染色を行った。その結果、傷害肝に存在するEGFP陽性細胞の多くはCD45陰性、α-smooth muscle actin陽性、glial fibrillary acid protein陽性、oil-red-O陽性であり、いわゆる肝星細胞のものに一致することが判明した。このことから、HSCが肝星細胞の起源であると考えられた。肝線維化、門脈圧亢進症、劇症肝炎といった病態において肝星細胞が主要な役割を果たしていることが判明しているので、この研究結果はこれら疾患の新しい治療戦略を考慮するのに貢献できると思われる。
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Research Products
(7 results)