2004 Fiscal Year Annual Research Report
血友病の遺伝子治療法の確立とカニクイザルを用いた前臨床実験への展開
Project/Area Number |
16590961
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
三室 淳 自治医科大学, 医学部, 助教授 (10221607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窓岩 清治 自治医科大学, 医学部, 講師 (70296119)
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Keywords | 血友病 / 遺伝子治療 / ウイルスベクター / Adeno-associated virus vector / 第VIII因子 / 第IX因子 / カニクイザル |
Research Abstract |
血友病遺伝子治療を目的として、凝固因子遺伝子を搭載したウイルスベクターを実験動物へ投与し、導入遺伝子から発現される凝固因子レベルを検討した。これまで、adeno-associated virus(AAV)vectorへの第VIII因子(FVIII)遺伝子の搭載は困難であったが、第VIII因子(FVIII)遺伝子を改変することと、極短いが強力な発現力をもつβ-actin minimum promoterを用いることでFVIII遺伝子搭載AAVを作製しえた。このベクターを用いることで治療効果が期待できるレベルの第VIII因子発現が、マウス骨格筋をターゲットとしたAAV1ベクターを用いた遺伝子導入法、また、肝臓をターゲットとしたAAV8ベクターを用いた遺伝子導入法により得られ、AAVベクターを用いた安全性が高い血友病A遺伝子治療法の可能性が示された。さらに、SIVベクターを用い、血液幹細胞、脂肪組織をターゲットとした血友病Aの遺伝子遺伝子治療法の可能性に加え、血小板をターゲットとした遺伝子導入法の可能性も示唆された。組織・臓器特異的遺伝子導入をめざした試みにおいて、PAI-1プロモーターを用いた血管内皮細胞をターゲットとする血友病B遺伝子治療法の可能性が示された。カニクイザルをもちいた血友病B遺伝子治療の前臨床実験を行い、カニクイザル骨格筋にAAVベクターにより変異カニクイザル第IX因子遺伝子発現を試みたところ、カニクイザルおいて導入遺伝子からの第IX因子の発現がえら、血液中に検出された。さらに、血友病新生仔マウスにおいてヒト第VIII因子に対する免疫寛容が誘導され、そのメカニズムがanergyであることが示された。これらの結果は安全な血友病遺伝子治療が可能であることを示唆するとともに、臨床でも遺伝子治療においても問題となるインヒビター対策への手がかりとなるものと考えられる。
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Research Products
(7 results)