2005 Fiscal Year Annual Research Report
血友病の遺伝子治療法の確立とカニクイザルを用いた前臨床実験への展開
Project/Area Number |
16590961
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Research Institution | JICHI MEDICAL SCHOOL |
Principal Investigator |
三室 淳 自治医科大学, 医学部, 助教授 (10221607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窓岩 精治 自治医科大学, 医学部, 講師 (70296119)
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Keywords | 血友病 / 遺伝子治療 / SIVベクター / Adeno-associated virus vector / 第VIII因子 / 第IX因子 / カニクイザル |
Research Abstract |
治療効果が期待できるレベルの第VIII因子発現が、マウス骨格筋をターゲットとしたAAV1ベクターを用いた遺伝子導入法、また、肝臓をターゲットとしたAAV8ベクターを用いた遺伝子導入法により得られ、AAVベクターを用いた安全性が高い血友病A遺伝子治療法の可能性が示された。さらに、SIVベクターを用い、血液幹細胞、脂肪組織をターゲットとした血友病Aの遺伝子遺伝子治療法の可能性に加え、血小板をターゲットとした遺伝子治療の可能性も示唆された。GPIbαプロモーターにより血小板特異的発現を可能とさせえるSIVベクターを用いてFVIII遺伝子導入をおこなった血液幹細胞を血友病マウスへ移植したところ血小板特異的遺伝子発現が得られ、血液幹細胞を移植した血友病Aマウスは出血症状が改善した。組織・臓器特異的遺伝子導入をめざした試みにおいて、PAI-1プロモーターを用いた血管内皮細胞をターゲットとする血友病B遺伝子治療法の可能性と有効性が示された。カニクイザルをもちいた血友病B遺伝子治療の前臨床実験を行い、カニクイザル骨格筋にAAVベクターによりヒト第IX因子遺伝子を発現させ、カニクイザルおいて導入遺伝子からのヒト第IX因子の発現が確認され、その血液濃度は治療レベルに達した。しかし、高いアミノ酸配列の相同性にもかかわらず、ヒト第IX因子は異種タンパクとして認識され抗体が産生されたためヒト第IX因子の長期発現は得られなかった。この問題を解決するために、カニクイザルにおいても検出可能な変異カニクイザル第IX因子を発現しえるAAVベクターをカニクイザルへ投与したところ、導入遺伝子からの変異第IX因子の長期発現がえられた。これらの結果は安全な血友病遺伝子治療が可能であることを示唆すると考えられる。
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Research Products
(6 results)