2004 Fiscal Year Annual Research Report
分子ノックアウトによる血小板血栓予防効果:PI3キナーゼとその標的酵素の役割
Project/Area Number |
16590963
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
半田 誠 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (40129614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 健次 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70230662)
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Keywords | イノシトールリン脂質3キナーゼ / Bruton tyrosine kinase / 血小板 / コラーゲン / 分子ノックアウト / 抗血小板療法 / 遺伝子ノックアウトマウス / フォスフォリパーゼγ2 |
Research Abstract |
クラス1イノシトールリン脂質3キナーゼ(PI3K)は血小板のコラーゲン受容体であるGPVI/FcRγの下流に位置する。PI3K経路が抗血小板治療の標的となるか否かを追求する目的で、関連分子の遺伝子ノックアウトマウスを用いることで、この酵素が支配する伝達経路が血小板機能にどのように関与しているかを明確にする。 PI3Kノックアウトマウス(-/-)、対照としてヘテロマウス(+/-)あるいは正常マウス(+/+)ならびにその直接のeffector分子とされるBruton tyrosine kinase (Btk)ノックアウトあるいは自然発症Btk変異(Xid)マウスを用いて、ex vivo血小板機能やシグナル分子の変化を解析した。 その結果、1)コラーゲンもしくは関連ペプチドCRPに対する血小板凝集能、活性化反応(p-セレクチン発現、フィブリノゲン結合能)、接着動態は、対照に比べPI3K(-/-)で有意に低下した。さらに、Btk(-/-)はPI3K(-/-)よりその細胞反応は低下していた。BtkはそのPHドメインを介してPI3Kに支配されているといわれている。しかし、驚くべきことに、そのPHドメインの変異であるXid血小板は、CRPに対する反応性はわずかに低下しているにすぎなかった。2)さらに、CRP刺激により惹起されるフォスフォリパーゼ(PLC)γ2の蛋白チロシンリン酸化反応を、各種マウス血小板を用いて検討した。その結果、リン酸化の程度は、PI3K(-/-)に比して、Btk(-/-)血小板でより強力に障害されていた。 以上から、血小板血栓のトリガーとして生理的に重要なコラーゲンにより惹起される血小板の細胞反応は、従来考えられたPI3K依存性経路とともに非依存性の経路を介することが強く示された。抗血小板療法の標的としてBtkは有望な分子であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)